宮崎県や鹿児島県、JR九州などで構成される「日南線(油津~志布志間)の将来を考える会議」が設置され、10月31日に宮崎県庁で初会合が開かれた。利用者の減少で厳しい経営が続いている同線区について、存続や廃止などの前提を置かずに複数の角度から議論する。

日南線は日豊本線の南宮崎駅で分岐し、太平洋沿いに南下して志布志駅に至る88.9kmの鉄道路線。列車は日豊本線に乗り入れて宮崎~志布志を結んでいるほか、田吉駅で分岐する宮崎空港線の列車が日豊本線と日南線に乗り入れて宮崎~宮崎空港を直通している。国鉄時代には終点の志布志駅で大隅線と志布志線に接続していたが、両線とも1987年に廃止された。
日南線の輸送密度は、国鉄時代の1977~1979年度で2345人。1980年公布の国鉄再建法に基づく政令では、原則として4000人未満の路線を特定地方交通線に指定し、第三セクターなど国鉄以外の事業者に経営を引き継がせるか鉄道を廃止してバス転換するものとしていた。しかし日南線は代替輸送道路が未整備であるとして指定対象から除外。1987年の国鉄分割民営化でJR九州が経営を引き継いでいる。
分割民営化後も沿線の過疎化や少子高齢化に加えて道路整備が進み、利用者の減少が続いている。JR九州によると、日南線の全体の輸送密度は1987年度で1423人だったが、コロナ禍が本格化する前の2019年度はほぼ半減の741人に。コロナ禍の2020年度は594人まで落ち込んだ。2023年度は637人まで回復している。
2023年度を区間別にみると、宮崎空港への直通列車が乗り入れている南宮崎~田吉の2.0kmは3621人。田吉~油津の44.0kmは948人だった。一方、宮崎・鹿児島県境部を含む油津~志布志の42.9kmは179人で、200人を割り込んでいる。

JR九州の古宮洋二社長は2024年11月、油津~志布志の区間について、将来のあり方を沿線自治体などと議論する考えを明らかにしていた。その後、JR九州が関係者と協議し、宮崎県・鹿児島県・JR九州に加え沿線の日南市・串間市・志布志市、学識経営権者で構成される「将来を考える会議」が設置された。任意協議会で議論の期限は定めていない。会議では今後、沿線アンケートを実施するなどして地域の実態や沿線住民の考えを調査する方針だ。
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