こうべ未来都市機構は11月20日、六甲有馬ロープウェー2路線のうち20年前から営業を休止している表六甲線について、12月から撤去工事を始めると発表した。施設の老朽化が激しいため。索道事業の廃止は9月に国土交通省近畿運輸局に届出済み。六甲山頂~有馬温泉を結ぶ有馬線(旧・裏六甲線)は引き続き運行する。
撤去工事は日本ケーブル大阪支店が実施。まず12月からワイヤーロープの撤去や工事用進入路の整備を行う。来年度2025年度からは表六甲駅と天狗岩駅の駅舎に加え、高さが最大44mに及ぶ支柱5基の撤去を2026年度末までに行う。工事費は11億2000万円。
六甲有馬ロープウェーは表六甲~天狗岩~六甲山頂(旧・六甲山頂カンツリー)の約2.3kmを結ぶ表六甲線と、六甲山頂~有馬温泉の約2.8kmを結ぶ有馬線の2路線に分かれている。表六甲駅は六甲ケーブル線の六甲山上駅に隣接し、神戸市の市街中心部と有馬温泉をケーブルカーとロープウェイで結ぶルートを構成していた。
神戸市や京阪神急行電鉄(現在の阪急阪神ホールディングス)、阪神電鉄などが出資する六甲有馬ロープウェー社が1970年に開業。1972年には神戸市都市整備公社(現在の神戸住環境整備公社)が運営を引き継ぎ、昨年2023年4月にはこうべ未来都市機構が運営を引き継いでいる。
利用者数は1974年度の約50万人をピークにマイカーやバスへのシフトで減り続け、2003年度にはほぼ半分の約25万人に。とくに利用者の少なかった表六甲線が2004年12月限りで営業を休止した。施設の撤去には多額の費用がかかることもあり、これまで廃止の手続きが行われていなかった。
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