京王電鉄は10月27日、若葉台車両基地(東京都稲城市)で京王線系統の新型車両「2700系電車」を報道関係者に公開した。1両のほぼ半分を占める大型フリースペースを導入したのが大きな特徴。来年2026年1月にデビューする。

公開されたのは2000系の第2701編成(10両)で、総合車両製作所(J-TREC)が製作。4年前の2021年10月に発生した京王線刺傷事件以降では初の新形式車両になる。デザインコンセプトは「もっと、安全に、そして安心して、これからもずっと、のっていただける車両を。全ての世代に、やさしく、そして、ワクワクしてもらえる車両を」としている。
外観は円をモチーフにした「ラウンド型」を採用。先頭形状やライトの形状が丸みを帯びており、側面は円模様の装飾が施された。内装も腰掛けの生地やドア前の床などに円模様を採り入れている。防犯カメラは各車両に4台設置した。京王電鉄鉄道事業本部の井上晋一本部長は、報道公開前の記者会見で「丸いフォルムで安心や、やさしさということを表現した」とアピールした。











編成ほぼ中央の5号車は新宿寄りのほぼ半分を大型フリースペースとし、「ひだまりスペース」と名付けた。端部にはほかの車両と同様に優先席と車椅子・ベビーカー利用者向けフリースペースを設置。ドア間は座席を設けず中央についたてを設置し、ついたての両側をフリースペースとした。幅と高さを大きくとった窓を設け、子供でも外が見やすいようにしている。
同様の大型フリースペースは2017年にデビューした西武鉄道の40000系電車にも「パートナーゾーン」として10両編成の先頭車(10号車)に設けられている。京王電鉄によると、「ひだまりスペース」は駅のエレベーターの位置を考慮して編成の中間に設けたという。





走行装置はフルSiCを用いた新型VVVFインバーター制御装置を採用。エネルギー使用量をVVVF未搭載車(抵抗制御)に比べ約70%減らした。京王電鉄の営業車両は2012年に全車VVVF化を達成しているが、従来のVVVF車と比較しても約20%削減したという。





京王電鉄によると、車内設備について客や社員へのアンケートや座談会を実施。その結果をもとに製造コンセプトを決定し、これにあわせて車両メーカーのデザイナーが車両デザイン案を数点製作した。さらにAIも活用。京王グループの感性AI社による分析サービス「感性AIアナリティクス」を使用し、コンセプトとマッチするデザインを決定したという。
近年は相鉄の13000系電車(2026年春デビュー予定)のように車両のデザインで生成AIを活用する取組もあるが、2000系の場合は人が制作したデザインの分析にAIを使用しており、生成AIは使用していない。京王電鉄車両電気部の佐々木昌課長は記者会見で「(生成AIを使わなかった理由は)とくにないが、社員の思いだったり会社の社風だったりもあるので、最終的には人の手で決めることがいいのかなと思う」と話した。
報道公開では3児の母で子育てに関する発言も多いタレントの藤本美貴氏もゲストとして参加。藤本氏は「ひだまりスペース」について「電車に乗るとなると、ベビーカーってたたまなきゃいけないのかな、そのまま乗っていいのかなと悩みがち。(「ひだまりスペース」は)堂々とたたまずに乗れそうなくらいスペースが広く、本当にいろんな方がいろんな使い方ができそうで、安心して乗れるスペースができあがった」と評価した。


2000系は2026年1月30日から営業運転を開始する予定。運用の詳細は未定だが、都営新宿線への乗り入れに対応した保安装置は搭載しておらず、同線には乗り入れない。2027年3月までに合計40両(10両4編成)を導入し、7000系電車を更新する計画だ。
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