東武鉄道「終電繰り上げ」野田線は実施せず 来春ダイヤ改正、東上線「TJライナー」増発



東武スカイツリーラインの列車。【撮影:草町義和】

東武鉄道は11月30日、来年2021年春に実施するダイヤ改正の概要を発表した。一部の路線を除き終電の時刻を繰り上げる一方、東上線の座席指定制通勤列車「TJライナー」を増発する。関東エリアのおもな鉄道会社はすべて終電の繰り上げを実施することになった。

終電の繰り上げは、伊勢崎線(東武スカイツリーライン)・大師線・日光線・東上線で実施。伊勢崎線(東武スカイツリーライン)は下り浅草→北春日部間と上り北千住→浅草間で15分程度繰り上げる。大師線は上下とも10分程度の繰り上げ。東上線は下り川越→川越市間で15分程度、上り志木→池袋間で10分程度繰り上げる。

野田線(東武アーバンパークライン)の終電繰り上げは実施しない。東武鉄道は「東京郊外を環状に結び、都心からのお客様の乗り換え需要が多いという特性」を踏まえたとしている。

また、伊勢崎線(東武スカイツリーライン)・東武日光線の特急列車のうち、新栃木6時02分発の浅草行き上り「リバティけごん208号」は春日部発→浅草行きに短縮。浅草22時49分発の新栃木行き下り「リバティけごん253号」は廃止する。

一方、「TJライナー」は平日朝に上り森林公園→池袋間に2本を増発。池袋着7時台と8時台にそれぞれ1本増やす。途中停車駅は東松山・坂戸・川越・ふじみ野の各駅。ダイヤ改正の詳細は来年2021年1月中旬に発表する予定だ。

■関東の主要鉄道はすべて終電繰り上げ

平日朝の上り列車が増発される「TJライナー」。【画像:BANANA18/写真AC】

鉄道の線路施設の保守作業は近年、少子高齢化の影響で作業員の確保が難しくなっている。鉄道事業者はマルチプルタイタンパーやレール削正車など、大型保守機械の導入による効率化を進めて対応しているが、これらの作業機械は作業開始前の移動や準備、作業終了後の確認・移動に時間がかかる。

一方で今年2020年に入ってから新型コロナウイルスの影響で、とくに深夜時間帯の利用者が大幅に減少。東武鉄道の場合、23時以降の利用者は「コロナ禍前」に比べ北千住駅で44%、池袋駅で35%、それぞれ減少している。

こうしたことから鉄道事業各者は、夜間作業時間の確保と利用者減少に対応するため、終電の繰り上げや初電の繰り下げを検討。関東では9月にJR東日本が終電の繰り上げを発表し、大手私鉄も東武鉄道と東京地下鉄(東京メトロ)の2社を除き、11月27日までに終電の繰り上げを発表した。この2社も11月30日に終電繰り上げを発表し、関東エリアの主要な鉄道路線はほぼすべて終電の繰り上げが行われることになった。