英国とほかの欧州各国を英仏海峡トンネル経由で結ぶ国際列車「ユーロスター」に、2階建て車両が初めて導入される。この列車を運行するユーロスター社は10月22日、新型の2階建て車「ユーロスター・セレスティア」をフランスメーカーのアルストムに発注したと発表した。投資額は20億ユーロ。2031年の運行開始を目指す。

「ユーロスター・セレスティア」はアルストムの2階建て高速車両シリーズ「アヴェリア・ホライズン」を採用。列車名の「セレスティア」はラテン語で「天国」「天上」などを意味する。
1編成の長さは約200m。座席数は現在の車両に比べ20%増えて1編成あたりでは約540席になる見込みだ。2編成をつないで運行する場合は1列車あたり約1080席になる。欧州各国の鉄道に乗り入れることができるよう4種類の電化方式に対応。環境負荷軽減も考慮し、現在の「ユーロスター」車両と比較して20~50%のエネルギー節約を図る。
「ユーロスター・セレスティア」は30両の発注が確定しており、さらに20両のオプションが付く。最初の車両は2031年1月に導入される予定。同年5月から6編成の「ユーロスター・セレスティア」が営業運行を開始する予定で、e320形とともに運用される計画だ。これにより「ユーロスター」の輸送力は30%増加するという。また、「ユーロスター」の現在の運行範囲は英国・フランス・ベルギー・オランダ・ドイツの5カ国だが、新たにスイスのジュネーブとドイツのフランクフルトにも乗り入れる。
ユーロスター社はこのほか、英国ロンドン東部のテンプル・ミルズ車両基地を8000万ユーロかけて改修。「ユーロスター・セレスティア」を同基地で整備する計画だ。
英国の鉄道車両の規格はほかの欧州各国に比べ小型で、車体が大きくなりがちな2階建て車が運行されたことはほとんどない。英国国鉄は1949年、通勤ラッシュ時の輸送力強化を図るため2階建て電車を実験的に導入。しかし平屋の従来車両に比べて乗り降りに時間がかかることから本格導入には至らず、1971年に引退している。

「ユーロスター・セレスティア」が予定通り2031年に運行を開始すれば、英国内での2階建て鉄道車両の運行は60年ぶりになるとみられる。
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