宇都宮ライトライン西側延伸「2036年3月開業」目指す 実施計画の詳細明らかに



宇都宮市はライトライン西側延伸区間の開業予定時期を2036年3月に決めた。今年2025年10月29日に軌道運送高度化実施計画を国に申請し、11月から都市計画手続きも始める。

2023年8月に開業したライトラインの東側区間。【撮影:草町義和】

10月20日に宇都宮市が示した軌道運送高度化実施計画の詳細によると、策定者は東側区間と同じで軌道整備事業者の宇都宮市・栃木県芳賀町と軌道運送事業者の宇都宮ライトレールの3者。実施区域は宇都宮駅東口停留場(宇都宮市宮みらい1-1)から教育会館前停留場(仮称、宇都宮市駒生1-648先)まで約4.9kmになる。停留場は既設の宇都宮駅東口停留場を除き12カ所に新設。運輸開始予定年月(開業時期)は2036年3月に設定した。

西側延伸区間の平面図。【画像:宇都宮市】

軌道は道路空間の中央に敷設する併用軌道。ただしJR線との立体交差部と宇都宮駅西口近くの田川を渡る部分は高架区間とし、軌道の専用走行区間として橋梁などを整備する。軌道構造は騒音や振動を抑えられる樹脂固定の制振軌道構造を採用。停留場はバリアフリーに対応する。また、終点の教育会館前停留場付近には車両運用を考慮した留置施設や変電所などを整備する。

併用軌道の横断面図。【画像:宇都宮市】
高架軌道の横断面図。【画像:宇都宮市】
樹脂固定の制振軌道の横断面図。【画像:宇都宮市】

車両数は平日ピーク時に必要な11編成に加えて予備3編成の合計14編成。既設の東側区間で使用しているHU300形電車と同じバリアフリー対応の低床式で、振動を抑える効果が高く加減速性能にも優れた構造にする。

車両は東側区間と同じバリアフリー対応の低床式車両を導入する。【撮影:草町義和】

概算工事費(税抜)は精査の結果、698億円とした。このうち補助額は349億円で社会資本整備総合交付金などから拠出することを想定する。起債の種類は一般公共事業等債で充当率は90%を想定。調達主体は宇都宮市だが、車両費は芳賀町も調達主体になる。

概算工事費と補助額。【画像:宇都宮市】

宇都宮市によると、土木費(285億円)のうち地下埋設物の移設費は確定した平面図に基づく占用事業者と協議しながら移設対象物を精査。車両費(112億円)は運行計画等などを踏まえた車両編成数や最新の30m級車両の実勢価格を考慮して算出した。軌道費(70億9000万円)は物価変動や為替変動の影響を受けやすい軌道の樹脂などの海外製品を最新の単価としたという。

宇都宮ライトレールが宇都宮市と栃木県芳賀町に支払う軌道・車両使用料(税抜)は、2024年度の実績値を基本に算出。車両走行1kmあたりで軌道使用料を74円、車両使用料を43円とした。

運行時間帯は6~23時台。朝夕ピーク時は6分間隔、オフピーク時は10分間隔で運行する。列車種別は各駅停車の普通列車のみ。最高運転速度は40km/hとする。所要時間(表定速度)は上り(宇都宮駅方面)が約20分(約13km/h)で、下り(教育会館方面)が約22分(約12km/h)。JR横断部は約3分とした。

需要予測は東西あわせた平日1日あたりの利用者数を3万1500人程度、休日1日あたりでは2万2500人程度と算定。平日は通勤・通学が全体の65%を占め、休日は私事が81%を占めるものとした。

収支計画は西側延伸区間のみの場合、単年度では開業1年目から黒字。累積損益は12年目で黒字になるとし、30年目の営業損益は3億7880万円になるとした。

費用便益比(B/C)は開業後30年間で直接効果が0.69、間接効果が0.63相当。開業後50年間では直接効果0.83、間接効果が0.78相当と試算した。直接効果だけでは社会的効果が事業費を下回る「1」未満だが、間接効果も含めれば「1」を超える。

宇都宮市によると、国土交通省が定める評価手法マニュアルでは「高齢者の外出機会の増加による健康増進効果等のように、マニュアルの中で便益計測手法が示されていない効果が存在するが、その効果のみを貨幣換算値として計測できる手法が整備され、他の便益との重複計上が避けられれば、本マニュアルによって算出される便益と合算してもかまわない」と定めていることから、これに基づきB/Cを試算したという。

直接効果の便益額。【画像:宇都宮市】
間接効果の便益額。【画像:宇都宮市】

宇都宮市は今後、沿線関係者などへの説明や芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会の開催を経て、2025年10月29日に軌道運送高度化実施計画を国に申請する予定。11月から都市計画手続きも開始する。まず11月9日に都市計画素案の説明会を開催し、同月17日から都市計画手続きを開始する予定。12月には市議会に関係議案を提案する。

軌道運送高度化実施計画が認定された場合、軌道法に基づく軌道特許を受けたとみなされ、続いて工事施行認可の手続きに移る。宇都宮市は2027年11月に工事施行認可を申請する方針だ。

宇都宮市はライトラインの西側延伸について、2022年8月時点では2030年代前半の開業を目指すとしていた。しかし昨年2024年11月の宇都宮市長選で、2030年の運行開始を公約に掲げた現職の佐藤栄一氏が当選。2025年2月に宇都宮市は2030年開業を目指す考えを明らかにした。しかしわずか半年後の8月には、2030年の開業が困難と表明。今回、2036年3月の開業を目指すとしたことで、開業目標時期は市長選前とほぼ同じ時期に戻ったことになる。

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