東京メトロ本社「一時移転」上野から箱崎へ 職場環境を改善、来客エリアも一工夫



東京メトロは9月25日、本社オフィスを一時的に移転すると発表した。ビルの老朽化に対応するほか、業務内容やプロジェクトに応じて働く場所を選べる「Activity Based Working」(ABW)を導入。職場環境などの課題の改善を図る。

東京メトロ本社オフィスが入るMSH日本橋箱崎ビル。【画像:東京メトロ】

現在の本社は東京都台東区東上野3丁目の自社ビル。新しい本社オフィスは三井倉庫ホールディングスのMSH日本橋箱崎ビル(地上25階・地下3階、中央区日本橋箱崎町)の11~13階で、東京メトロ半蔵門線の水天宮前駅から徒歩3分の場所に位置する。移転時期は来年2026年夏ごろの予定だ。

東京メトロは新オフィスのイメージも公表した。来客エリアは「東京メトロらしさを発信し、お越しいただいた皆様に楽しんでもらえるようなエリア」を目指すとし、打ち合わせブースには東京メトロが運営する各線の案内サインを設ける。

新本社オフィスの入口。【画像:東京メトロ】
来客エリアは東京メトロ各線の案内サインが設置される。【画像:東京メトロ】

執務エリアはカフェテリアや集中スペースなど、さまざまな執務スペースを配置。「業務内容等に応じて適した場所を選んで働くABWを実現するほか、役職や部門を超えた交流を促進し新たなイノベーションが生まれる場」を目指すとしている。

執務エリアのイメージ。さまざまな執務スペースを設けてABWを実現する。【画像:東京メトロ】

現在の東京メトロ本社ビルはJR上野駅の近くにあり、地下で日比谷線や銀座線の上野駅にも連絡している。営団地下鉄時代の1987年から1989年にかけて建設された。当時としては省力化や省エネルギー化を積極的に採り入れており、災害対策として防災拠点機能も設けている。

営団地下鉄は1941年の発足以来、現在の銀座線を運営していた東京地下鉄道が1931年に建築した地下鉄ストアビルを本社事務所として使用。1980年代には老朽化に加えて地下鉄ネットワークの拡充に伴い手狭になったことから改築が計画され、現在の本社ビルが建設された。

かつて営団地下鉄が本社事務所として使用していた地下鉄ストアビル。【出典:都市美協会編『建築の東京 大東京建築祭記念出版』1935年】
1989年までに完成した現在の東京メトロ本社ビル。【撮影:草町義和】

東京メトロは今回の本社オフィス移転を「一時的な移転」としている。一方で上野エリアへの再移転時期は未定で、同社は「まちづくりの進展状況等を見極めつつ判断していきます」としている。

《関連記事》
東京メトロ「初の海外鉄道運営」開始 ロンドン地下鉄エリザベス線、社員を派遣
東京メトロ「タッチ決済」後払い乗車にも対応へ 運賃は1円単位? 10円単位?
東京メトロ有楽町線の延伸:豊洲~住吉(未来鉄道データベース)