長良川鉄道(岐阜県)は9月1日、越美南線のダイヤ改正を10月18日に実施すると発表した。走行距離ベースで平日14%の減便。土曜・休日は17%の減便を行う。年間約1100万円の経費削減を見込む。

平日ダイヤはおもに昼間の時間帯に、一部列車の運転区間や行き先の変更、運転の取りやめ、時刻変更を実施する。これにより1日あたりの全列車の走行距離は現在の2101.6kmから288.2km減って1813.4kmになる。
平日の区間別運行本数は、美濃太田~関が改正前と同じ44本。関~美濃市は1本減って46本になる。美濃市~湯の洞温泉口は各区間のなかで最大の8本減少。現在33本のところ25本になる。湯の洞温泉口~郡上八幡~美濃白鳥は現行22本から6本減の16本。美濃白鳥~北濃は現行17本から4本減の13本だ。
土曜・休日ダイヤはおもに朝や夕方以降の時間帯に、一部列車の運転区間や行き先の変更、運転の取りやめ、時刻の変更を実施。1日あたりの全列車の走行距離は現在1927.6kmだが、320.2km減って1607.4kmになる。
土曜・休日の区間別本数で減便本数が最も多くなるのは関~美濃市で、現在45本のところ改正後は13本減の32本に。これに美濃太田~関の8本減(改正前:42本→改正後:34本)、美濃市~湯の洞温泉口の5本減(28本→23本)、郡上八幡~美濃白鳥の4本減(20本→16本)、湯の洞温泉口~郡上八幡の2本減(22本→20本)、美濃白鳥~北濃の2本減(15本→13本)が続く。
長良川鉄道によると、今回のダイヤ改正は利用者の動向にあわせたものという。同社はダイヤ改正で「輸送体制の効率化を図るとともに、安全・安定輸送の確保と持続可能な鉄道事業の経営を引き続き目指してまいります」としている。

越美南線は美濃太田~北濃の72.1kmを結ぶ鉄道路線。1923年から1934年にかけ国鉄線として開業した。岐阜県北部の山間部を結ぶローカル線で利用者は少なく、輸送密度は1977~1979年度の平均で1392人。1980年に公布された国鉄再建法では原則として4000人未満の国鉄線を廃止するものとし、越美南線も1984年に廃止対象に指定された。
岐阜県や沿線自治体は第三セクター化による鉄道の維持を決め、1986年に長良川鉄道を設立。同社が越美南線の経営を引き継いだ。しかし沿線人口の減少に加え周辺の道路整備が進み、利用者はさらに減少。全体の輸送密度はコロナ禍前の2019年度で364人、2022年度は345人まで落ち込んでいる。長良川鉄道株主の沿線自治体は今年2025年から、利用者がとくに少ない一部の区間を廃止する方向で検討している。
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