熊本電鉄「2年で再び運賃改定」初乗り200円超え 減便で利用者減少



熊本電鉄は6月30日、鉄道旅客運賃の上限変更認可を国土交通省の九州運輸局長に申請した。認可された場合、熊本電鉄は10月1日に運賃を改定する予定。上限ベースで平均3割ほど値上げする。

熊本電鉄の列車。【撮影:草町義和】

普通旅客運賃の上限は、初乗り(2kmまで)が現行180円のところ50円値上げの230円に。藤崎宮前~御代志9.5kmは現行460円から140円値上げの600円になる。定期旅客運賃の上限は1カ月の場合、藤崎宮前~御代志で通勤が5040円値上げの2万1600円、通学が4200円値上げの1万8000円だ。

ただし熊本電鉄は「急激な負担増加を緩和するため」として、実際に適用する運賃(実施運賃)は値上げ幅を抑える考え。実施運賃ベースの場合、普通旅客運賃は初乗り(2kmまで)が30円値上げの210円で、2km以上は各距離帯で40~90円値上げする。定期旅客運賃は1カ月の場合、藤崎宮前~御代志で通勤が3240円値上げの1万9800円、通学が2700円値上げの1万6500円だ。実施運賃は認可後に届け出る。

普通旅客運賃の現行額と改定実施額、改定申請額【画像:熊本電鉄】

熊本電鉄は2023年10月にも運賃を値上げしており、2年で再び値上げすることになった。同社によると、昨年度2024年度の利用者数は170万6000人で、コロナ禍前(2019年度で177万人)の水準には達していない。今年2025年は乗務員の退職による減便で利用者数が減少している。

また、物価高騰や人件費の高騰などによる設備投資費用の増加もあり、2024年度の損益は1億円以上の赤字という状況。乗務員の待遇改善や設備補修なども継続的に行う必要があることから、運賃の値上げを申請したという。

鉄道事業の営業収支率は2024年度が80.1%で、2025年度は70.5%の見込み。熊本電鉄は運賃の改定により2026年度は89.8%に改善することを見込んでいる。

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