広島電鉄の電車運賃「全線統一」認可 新システム利用なら据え置き、最大50円値下げも



国土交通省の中国運輸局長は1月16日、広島電鉄が申請していた鉄道事業と軌道事業の旅客運賃上限変更を認可した。これを受けて広島電鉄は2月1日に電車運賃の改定を実施。全線の運賃統一を図る。

広島電鉄の広島港停留場。【撮影:草町義和】

普通旅客運賃は現在、広島市内線が220円(白島線は160円)で、宮島線は区間によって運賃が変わる(140~230円)。改定後は全線240円に統一。これにより市内線は20円(白島線は80円)値上げされる。宮島線は10~100円の値上げ。宮島線・市内線連絡は10~20円値上げされる区間(1~3区)と10~30円値下げされる区間(4・5区)に分かれる。

一方、QRコードとスマートフォンを活用した新しい乗車システム「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」で利用する場合は割引運賃を適用。市内線は実質据え置きの220円になり、白島線の値上げ幅も実質60円に抑えられる。宮島線は距離によって改定幅が変わり、10kmまでの区間は値上げ幅が実質10円に。10~14kmは実質据え置きで、14~17kmの区間は実質10円の値下げになる。市内線から広電宮島口停留場までの宮島線・市内線連絡なら、現行270円のところ220円になり、実質50円の値下げだ。

電車の現行運賃と改定後の運賃、MOBIRY DAYS利用時の運賃の比較。【画像:広島電鉄】

定期旅客運賃は全線利用できる統一運賃(電車全線定期券)と宮島線のみ利用できる区間運賃(宮島線区間定期券)を設定する。大人・1カ月の場合、電車全線定期券は通勤が9800円で通学が6770円。宮島線区間定期券は距離によって変わり、通勤が5400~7920円、通学が3600~5280円だ。また、定期券は運賃改定にあわせ、すべてMOBIRY DAYSのみの発売になる。

広島電鉄は昨年2024年10月、コロナ禍の影響を含む利用者の減少や老朽化した施設の更新、物価高騰などを受けて運賃の値上げを申請した。同社によると、鉄軌道部門の収支は2023年度が68億500万円の収入に対し支出は72億1700万円で4億1200万円の赤字。2025~2027年度の3年間平均の推定は現行運賃のままなら18億2800万円の赤字だが、運賃改定により赤字幅を10億4900万円に縮小することを見込む。

もと京都市電の1900形電車1903号。老朽化により引退した。【撮影:草町義和】

広島電鉄は運賃改定を機に車両や施設の改善を推進する方針。2025~2027年度に9億700万円かけて超低床車両を3編成導入し、老朽化した車両の更新とバリアフリー化を図る。

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