鉄道・運輸機構は5月14日、北海道新幹線の工事中の延伸区間(新函館北斗~札幌)に設ける札幌車両基地の壁面デザインが決まったと発表した。「まちとともに築く」をデザインコンセプトとし、札幌の「未来」や車両基地の「安心・安全」を表現したとしている。

札幌車両基地は札幌駅の北海道新幹線ホームの旭川寄りに設ける車両基地。高さ約22m、長さ約1.3kmの細長い高架橋上に車両の留置スペースと検査スペース、保守基地を配置し、全体を屋根と壁で覆うのが特徴だ。
東2丁目線との交差部の南側は、新幹線札幌駅との連続性を持たせつつ車両基地内部の動きが少しでも外部から見えるよう、縦長の窓を連続的に設置する。


ここから先は札幌市が制定した「札幌の景観色」の70色のなかから無彩色(モノトーン)を使用。下から上へ明度を上げていくグラデーションのデザインを採用し、圧迫感の軽減と周辺の市街地環境との調和を図るという。

函館本線・苗穂駅付近の検査スペースから保守基地にかけては、消防設備として必要になる排煙窓を連続させ、上下で異なる透過度としてグラデーションと同様に横への連続性を持たせる。これにより札幌駅まで伸びる線路のラインとともに直線的なデザインにしたという。夜間には異なる光の漏れ方をする窓が、昼間とは異なる直線的デザインを形成し、新たなシンボルになるとしている。

整備新幹線で市街地に車両基地を整備するのは、北海道新幹線の札幌車両基地が初めて。市街地を貫くようにして長大な高架構造物を建設することから、鉄道・運輸機構は「景観上の配慮、圧迫感などに対する周辺住民への配慮」が必要と判断した。2024年に有識者で構成される検討会を設置してデザインを検討。今年2025年1月にはオープンハウス方式による説明会を開催して市民との意見交換を実施した。
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