北陸特急「紫のサンダーバード」京都の廃線高架に設置、エンタメレストランに



梅小路ハイライン社・DDグループ・JR西日本の3社は5月7日、京都鉄道博物館に隣接する廃線の高架上に681系特急型電車を設置したと発表した。常設店舗として活用する計画で、3社は「日本初の廃線高架上常設店舗」とアピールしている。

JR西日本の681系。【画像:たもぞう/写真AC】

作業は4月27日1時ごろから28日3時ごろにかけて実施した。廃車になった681系の先頭車1両を吹田総合車両所から山陰本線(嵯峨野線)の梅小路京都西駅付近までトレーラーで輸送。現地到着後、クレーンでつり上げて廃線高架上に設置した。車両は現役時代と異なり紫色に塗り替えられている。

吹田から梅小路への陸送の様子。【画像:梅小路ハイライン・DDグループ・JR西日本】
681系をクレーンでつり上げた様子。【画像:梅小路ハイライン・DDグループ・JR西日本】

681系は最高速度160km/hの運行に対応するため開発された、在来線特急用の電車。1992年から1997年にかけて102両が製造され、大阪~金沢を結ぶ特急「サンダーバード」や越後湯沢~金沢を結ぶ「はくたか」など北陸方面の特急で運用されてきた。2015年以降、一部の車両が引退。北陸新幹線の延伸に伴い運用範囲が縮小している。

3社は高架上に設置した681系を常設店舗として活用する計画。「かつて京都と北陸を結んでいた特急『サンダーバード』を再活用し『フューチャーバード』として蘇らせた車両を先頭に、連なる列車の形を模した空間で『廃線発・未来行き』の新たな食体験を提案するエンターテインメントレストラン」として活用するとしている。常設店舗の名称は「FUTURE TRAIN」。オープンは夏ごろの予定だ。

梅小路短絡線の高架上に設置された681系。【画像:梅小路ハイライン・DDグループ・JR西日本】

廃線の高架橋は、東海道本線(JR京都線)の梅小路(京都貨物)駅と嵯峨野線の丹波口駅を短絡していた東海道本線の支線。「梅小路短絡線」などと呼ばれていた。1987年の国鉄分割民営化で、JR西日本が線路を保有して旅客列車を運行する第1種鉄道事業線、JR貨物がJR西日本から線路を借りて貨物列車を運行する第2種鉄道事業線の扱いになった。

2006年、JR貨物は梅小路短絡線の第2種鉄道事業を廃止。もともと定期運行の旅客列車が走っておらず、梅小路短絡線と嵯峨野線の合流地点に梅小路京都西駅(2019年開業)を整備する計画が浮上したため、2016年にはJR西日本も第1種鉄道事業を廃止した。その後、残された高架橋は「梅小路ハイライン」と銘打ち、イベントスペースとして活用されている。

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