JR西日本・JR西日本イノベーションズ・セレンディクスの3社は3月11日、紀勢本線の初島駅(和歌山県有田市)に3Dプリンター技術を活用した新しい駅舎を整備すると発表した。3社によると、3Dプリンターによる駅舎の建設は世界初という。

初島駅の現在の駅舎は1949年の建造から70年以上が過ぎ、老朽化が進んでいる。新しい駅舎は鉄筋コンクリート造、約10平方mの平屋建て。寸法は高さ約2.6m、幅6.3m、奥行2.1mになる。壁面には有田市の名産「みかん」「たちうお」をイメージした装飾を施す。

建物の基礎部分を含めた外形のパーツを3Dプリンター技術でパーツを出力し、鉄筋・コンクリート充填の処理を行ったうえで現地組立を行う。現地ではクレーンによりパーツを組み上げ、接合して完成させる。施工時間は約6時間を想定。終電から始発までの一夜で建設する計画だ。
3社は老朽化した木造駅舎などの建て替えを視野に入れ、建設用3Dプリンターを活用した駅舎の建設に向けて検討を進めていた。3社によると、現場での作業が大幅に効率化され、在来工法に比べ工期の短縮効果が期待できるという。3社は3Dプリンター駅舎の整備プロジェクトを通じ、建設と維持管理にかかるコスト効果を詳細に検証する考え。
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