国土交通省・防衛省とJRなどは3月7日、「鉄道事業等及び自衛隊における人材確保の取組に係る申合せ」を締結した。自衛官の鉄道業界への再就職支援などで連携する。

「申合せ」を締結したのは、国土交通省と防衛省、JR旅客6社、JR貨物。業界団体の民鉄協と第三セクター鉄道等協議会、日本地下鉄協会、日本鋼索交通協会も締結した。業種説明会の実施やインターンシップの機会の設定、職業訓練の充実などを図り、退職予定自衛官の鉄道業界への再就職支援に連携して取り組む。列車内に自衛官募集ポスターを掲示するなど自衛隊の人材確保にも取り組む。

自衛隊の退職制度は若年定年制と任期制の2種類ある。若年定年制の定年年齢は曹士で55~56歳、将や将補を除く幹部自衛官でも56~58歳と比較的早い。防衛省によると、2023年度の退職者数は約7600人で、このうち約4200人が若年定年退職という。
防衛省は「若年で退職する自衛官の退職後の再就職の支援は、雇用主たる国(防衛省)の責務であり、将来の不安の解消や優秀な人材の確保のためにも極めて重要」としている。一方で鉄道業界は少子高齢化に伴う人材不足が顕在化している。
一部の自衛官は任務上必要な大型自動車免許を在隊時に取得する場合があることから、運転士不足が深刻化しているバス会社などが注目。自衛官を対象にした運転体験会などを行っている。
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