京急大師線・川崎大師駅前後の地下化「着工時期」川崎市が提示 事業費削減めど



川崎市は1月23日、京急大師線で実施している連続立体交差事業(連立事業)のうち未着工の「1期(2)区間」について、2026年度中の工事着手を目指す考えを明らかにした。工事方法の変更などで事業費削減や工期短縮のめどがついた。

京急大師線の列車。【画像:さんまなぎなぎ/写真AC】

1期(2)区間は、川崎大師駅前後の鈴木町駅付近から東門前駅付近まで約1.2kmを地下化するもの。川崎大師・東門前の2駅を地下化するとともに6カ所の踏切を解消する。東門前駅付近から小島新田駅まで約1.2kmは1期(1)区間として2019年3月に線路の地下化が完了しており、現在は駅舎の整備などの工事が行われている。

川崎市の建設緑政局が市議会まちづくり委員会で、1期(2)区間の事業費縮減策などの検討結果を報告した。それによると、川崎大師駅周辺の約500mの区間は、現在の線路をいったん仮線に移設してから地下トンネルを建設する仮線工法に変更。これにより事業費は従来の想定より約200億円減って990億円、工期は約13年と算定した。事業の社会的効果を示す指標となる費用便益比(B/C)は1.04とされ、事業効果が整備費を上回った。

このほか、構造物のプレキャスト化による事業費や工期の縮減にも取り組む考え。仮線工法の採用で創出される現在の線路の跡地を活用して車両の通行を確保し、これにより昼間施工を実現して事業費・工期のさらなる縮減にも取り組むという。

今後は1期(1)区間の工事が今年2025年3月に完了する予定。1期(2)区間は来年2026年12月までに都市計画変更と環境影響評価の手続きを完了させ、2027年3月の事業認可変更、工事着手を目指す。地下線への切替は2037年度、工事完成は2038年度を目指す。

京急大師線の連立事業の今後のスケジュール。【画像:川崎市】

京急大師線の地下化ルート(赤)。【画像:国土地理院地形図、加工:鉄道プレスネット】

川崎市は京急大師線の全線(京急川崎~小島新田、4.5km)を地下化して踏切を解消する連立事業を計画。まず川崎大師~小島新田を1期区間として地下化し、続いて京急川崎~川崎大師を2期区間としてルート変更も含めて地下化するとしていた。

しかし川崎市は2017年、費用対効果が低いとして2期区間の事業中止を決定。1期区間は終点寄りの東門前駅付近~小島新田を1期(1)区間として先行着手し、2019年3月の地下化で踏切4カ所が解消された。

残る1期(2)区間は、2期区間の中止に伴い現在の鈴木町駅にすり付けるよう計画を変更する必要があるが、都市計画の変更が行われておらず未着工。2021年11月に川崎市が示した1期(2)区間の検討結果ではB/Cが0.93で事業効果が整備費を下回る結果となり、川崎市が改めてコスト縮減策などを検討していた。

一方、事業中止となった2期区間について川崎市は今後、都市計画変更の準備と代替案の検討を進める。2026年4月から代替案の検討結果に基づく施策を実施する考え。2026年12月には2期区間の中止に対応した都市計画変更を行う方針だ。

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