西武山口線「新型車両」イメージ公表 ロングシートや親子席など車内も



西武鉄道は1月22日、「レオライナー」こと山口線に新型車両を導入すると発表した。現在の8500系電車を順次更新する。同線の車両が更新されるのは、ゴムタイヤ走行の案内軌条式鉄道(AGT)として開業してからは初めて。

西武山口線に導入される新型車両のイメージ。【画像:(C)SEIBU Lions/TEZUKA PRODUCTIONS/西武鉄道】

新型車両は12両(4両3編成)で三菱重工業が製作する。車両の形式は今回明らかにしていない。

第1編成は西武ドーム(ベルーナドーム)を本拠地とする埼玉西武ライオンズをイメージしたデザインを採用。先頭車両の車体側面にはライオンズの公式マスコット「レオ」のマークを大きく配置する。内装もライオンズをイメージした配色とし、「ベルーナドームへ応援に足を運ぶお客さまのワクワク感」を引き立てるという。第2編成と第3編成のデザインは検討中。

車体側面には「レオ」のマークが大きく描かれる。【画像:(C)SEIBU Lions/TEZUKA PRODUCTIONS/西武鉄道】

車内の座席は基本的には現在のクロスシートからロングシートに変え、ベルーナドームでのプロ野球やコンサートなど大規模イベント開催時の輸送力を強化する。先頭車の最前部には「kids SEAT」と名付けた座席を設置。大人一人と子供一人が着席できる幅を確保し、親子で前面の車窓を楽しめるようにする。2・3号車にはショーケースを設置。展示物は現在検討中だ。

新型車両の車内。ロングシート化で輸送力を強化する。【画像:西武鉄道】
先頭車の最前部に設ける「kids SEAT」(左)。【画像:西武鉄道】
2・3号車に設置されるショーケース。【画像:(C)SEIBU Lions/TEZUKA PRODUCTIONS/西武鉄道】

バリアフリー対策として各ドアの上にLCD方式の車内案内表示器を設置。車椅子スペースを各車両に1カ所設ける。また、安全対策としてリアルタイム通信式の車内防犯カメラを各車両に2台搭載。ホーム上の状況を運転台のモニターに表示する車側カメラシステムを搭載する。列車運行中の前方・後方映像を記録するドライブレコーダーも搭載。事故や列車運行への妨害行為などが発生した際の状況確認や原因究明に役立てる。

運行開始は来年度2025年度末の予定。その後も2027年度まで順次導入し、現在の8500系電車を置き換える予定だ。

西武山口線のAGT開業時に導入された8500系。【撮影:草町義和】

西武山口線は多摩湖線の多摩湖駅から西武園ゆうえんちを経て狭山線の西武球場前駅に至る2.8kmの路線。1950年に遊具扱いで開業し、1952年には地方鉄道法(現在の鉄道事業法)に基づく鉄道に変わった。

当初は軌間762mmの軽便鉄道で小型の蓄電地機関車や蒸気機関車が走っていた。1980年代には施設の老朽化対策や球場アクセス改善を目的にAGTへの転換が決まり、1985年にAGT路線として再開業した。車両は再開業時に導入された8500系が現在も使われており、今年2025年にデビュー40周年を迎える。

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