沖縄県営鉄道の爆発事故「80年」沿線でミニパネル展 死者数は日本の鉄道史上最悪



沖縄県営鉄道(1945年消滅)の爆発事故から今年2024年12月11日で80年を迎えた。かつて糸満線が通っていた南風原町の南風原文化センターで、爆発事故に関するミニパネル展が開催されている。

爆発した列車を牽引していたとされる13号機と同型の12号機(写真は1945年の沖縄戦で米軍が上陸したあとに撮影されたもの)。【所蔵:沖縄県公文書館】

この事故は戦時中の1944年12月11日午後に発生。女子学生と軍人に加えガソリンや弾薬類などを載せた列車が糸満線の喜屋武駅を過ぎて稲嶺駅に向かって走っていたところ、突然爆発した。このとき列車を牽引していたのは、国鉄仙北軽便線(現在のJR石巻線)から移ってきた蒸気機関車の13号機といわれており、煙突から出た火の粉が積荷のガソリンに引火したものとみられる。

爆発事故の発生位置(赤)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

この爆発で列車に載せていた弾薬類に加え、線路周辺に野積みされていた弾薬類も次々に誘爆。軍人210人前後と女子学生8人、鉄道職員3人の合計約220人が死亡するという大惨事になった。死者数は日本の鉄道事故では史上最悪だが、戦時中で軍が住民にかん口令を敷いたこともあり、あまり知られていない。

稲嶺駅から糸満方面へ二つ先にあった東風平駅。事故を起こした列車はこの駅にたどり着けなかった。【所蔵:那覇市歴史博物館】

ミニパネル展は12月28日まで9~18時に南風原文化センターのロビーで開催される。毎週水曜と12月12日は休館。公共交通でのアクセスはゆいレールの旭橋駅近くにある那覇バスターミナル(那覇駅跡)から沖縄バス40番大里線の福祉センター入口停留所で下車し、徒歩5分。

《関連記事》
米軍が記録した「沖縄県営鉄道」破壊の跡 かつて東北の国鉄ローカル線を走ったSLも
那覇市LRT「東西・南北+支線」標準軌、車両基地は地下 整備計画素案の詳細