中国「2階建て客車」輸送力不足時代を支えた車両、いまはチケット争奪戦に



中国の陝西省で、いまでは珍しくなった2階建て客車を使用した観光列車が12月の期間限定で運行されている。

2階建て客車で構成される「シルクロード号」。【画像:中国国家鉄路集団】

列車番号はY800・Y801。「シルクロード号」という列車名が付けられている。運行区間は宝鶏~潼関。西安などを経由し、沿線の景勝地30カ所以上をカバーしている。車両は25K形客車のうち2階建てタイプのものを使用。車体の外観は完成当時のままで、白をベースに赤と青の帯で装飾されている。月曜を除き12月31日まで運行される予定。

「シルクロード号」では25K形の2階建て車が使われている。【画像:中国国家鉄路集団】
2階から1階部を見た様子。【画像:中国国家鉄路集団】

中国の鉄道では1990年代に2階建て客車の導入が本格化。急激な経済発展で慢性的な輸送力不足が続いていた中国の鉄道を支えた。しかし近年は高速鉄道の整備にあわせて数を減らしており、現在は希少価値の高い存在になった。

ウイグル自治区のウルムチ~カシュガルを結ぶ列車に連結されていた2階建て客車(2010年)。こちらは25B形客車の2階建てタイプになる。【撮影:草町義和】

『人民日報』によると、今年2024年10月に20代の大学生が「2階建て列車を生まれて初めてみた」とSNSに動画を投稿したところ、大きな注目を集めた。いまでは2階建て車の運行が決まるとチケットの争奪戦が繰り広げられるという。

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