伊予鉄バス「日本初」条件付き完全自動運転の本格運行 松山観光港の連絡バス



伊予鉄グループ(愛媛県)は12月10日、特定条件下の完全自動運転「レベル4」による路線バスを12月25日から本格運行すると発表した。同社によると、路線バスのレベル4での本格運行は日本初という。

伊予鉄バスが運行するレベル4自動運転バスのイメージ(右側面)。【画像:伊予鉄グループ】

自動運転を行うのは、伊予鉄道高浜線の終点・高浜駅と松山観光港を結ぶ往復約1.6kmの連絡バス。伊予鉄グループ子会社の伊予鉄バスが運行する。自動運転システムはソフトバンクやヤフー、先進モビリティが出資するBOLDLY(ボードリー)に業務委託する。

車両はEVモーターズ・ジャパン(北九州市)製の小型電気バス「ALFABUS」を使用。大きさは長さ7.19m・幅2.06m・高さ3.05mで定員は乗客12名・乗員(運転士)1名になる。航続距離は170~250km。道路の制限速度は40km/hだが、実際の運行速度は35km/hに抑える。運行時間帯は6時44分~21時54分。毎日運行するが、必要に応じて手動運転に切り替える。

運賃収受は完全キャッシュレスを採用。SuicaやICOCAなど全国交通系ICカードに加え、みきゃんアプリ、い~カードで利用できる。現金では利用できない。

初日の12月25日は13時から松山観光港のバス乗り場で出発式を行う予定。これに先立ち式典参加者が乗車する試乗会を行う。

自動運転路線バスの前面と後部のイメージ。【画像:伊予鉄グループ】

レベル4は特定の条件下に限り完全自動運転を行うもの。福井県永平寺町で廃止された鉄道敷地を再整備した遊歩道を走る電動カートがレベル4の認可を受けて自動運転を行っている。また、鉄道の敷地を活用したバス専用道を走る気仙沼線BRT(宮城県)やひたちBRT(茨城県)もレベル4の認可を受けており、自動運転の実施に向け準備を進めている。

伊予鉄バスの自動運転バスは専用道ではなく、おもに一般道の愛媛県道19号松山港線を走行。大型2種免許を持つ保安員が同乗するほか、伊予鉄バスの松山斎院営業所で遠隔監視も行う。

国土交通省の四国運輸局は12月3日、伊予鉄バスが申請していたレベル4の運行を認可していた。伊予鉄グループによると、限定されたエリア内で運転士なしでの運行が可能なため、公共交通機関で人手不足の解消などが期待されるという。同社はレベル4自動運転の路線バスの本格運行を機に「公共交通の利便性向上と未来の都市交通の実現を目指す」としている。

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