神奈川県・相模原市・JR東海の3者は、リニア中央新幹線・神奈川県駅(仮称)の工事現場を一般に公開するイベント「さがみはらリニアフェスタ」を開催する。開催日時は11月9・10日の10時30分~16時30分。

地下工事現場では現在、シールドマシンの発進に向けた準備が進められている。今回のイベントではシールドマシンの発進部をスクリーンとし、トンネルの掘削や将来のリニア車両が走行する様子などをイメージした映像をプロジェクションマッピングで投影する。
また、体験・展示コーナーやステージを設置。体験・展示コーナーでは現実世界と仮想世界を組み合わせた技術(拡張現実=AR)を活用し、工事内容の説明を行ったり完成後のイメージを見られたりするようにする。多摩美術大学の学生によるアートの展示なども行う。

ステージではアーティストによる音楽やダンスなどのパフォーマンスイベントを実施。ロックバンド「LUNA SEA」のボーカルで「かながわ観光親善大使」を務める河村隆一氏のライブイベントなどを行う。工事現場周辺の地上にもイベント会場を設け、相模原市で活動している団体のパフォーマンスや地元小中高生による演奏、JR東海音楽クラブによるコンサートなどを行う。

参加に際しては事前の申し込みが必要。10月28日10時から11月10日15時までイベント予約サイト「Peatix」で受け付ける。神奈川県の黒岩祐治知事によると、1日あたり約3000人の来場を見込んでいるという。
神奈川県駅はリニア中央新幹線の品川~山梨県(仮称)に設けられる相模原市内の地下駅。近くにはJR横浜線・JR相模線・京王相模原線の橋本駅がある。

駅施設の延長は約1kmで幅は最大約50m。地上からの深さは約30mになり、島式ホーム2面4線を設ける。駅の東端部は品川駅に通じる第1首都圏トンネルに接続。西端部は相模川橋梁の手前まで延びる第2首都圏トンネルにつながる。工事は駅中央部の最深部から駅西端部まで掘削で進んで広大な空間ができあがっており、第2首都圏トンネルを掘削するシールドマシンの発進に向け準備が進められている。
リニア中央新幹線は着工当初、品川~名古屋が2027年に開業する予定だった。しかしルート上の静岡県が着工を容認していないのに加え、岐阜県内の工事現場では付近の井戸の水枯れや地盤沈下が発生。地質が悪い場所もあって工事は大幅に遅れており、開業は早くても2034年ごろになりそうだ。
一方、神奈川県駅は工事が比較的順調に進んでおり、3年後の2027年には完成の見込み。仮に2034年に開業するとした場合、実際に鉄道駅として使われるようになるのはいまから10年後で、それまでは「遊休施設」のような存在になる。
JR東海はこれまでも地下工事現場でコンサートを開催するなどのイベントを行っているが、これを聞いた黒岩知事が今年2024年7月、暫定的なエンターテインメント施設として活用したい考えを明らかに。「工事現場を活用した文化芸術によるにぎわい創出の取組」として、神奈川県・相模原市・JR東海の共催でイベントを行うことにした。

黒岩知事は10月22日の記者会見で「工事現場だから工事は進捗していく。その都度、このエリアは使える、でもここから先は使えなくなるといったことがいろいろ出てくる。そのマップをしっかりと作って、この時期にはどのエリアで、どういったことができますというものを用意して、エンターテイメントに関わる人に提示して希望を募りたい」と話し、地下工事現場を開業直前までイベント施設として活用する考えを示した。
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