JR東日本は9月10日、新幹線に導入する自動運転について、現在の開発状況や今後のスケジュールなどを発表した。上越新幹線の一部の区間で自動運転を実施するため、地上設備や車両改造などの工事に着手。2029年度には回送列車で運転士が乗務しない自動運転(ドライバーレス運転)の導入を目指す。
まず2028年度、長岡~新潟~新潟新幹線車両センターの60.8kmで営業列車と回送列車への自動運転の導入を目指す。自動運転レベルはGoA2。運転士が列車の先頭部に乗務するが、運転士は自動列車運転装置(ATO)のボタン操作のみを行う形になる。
続いて2029年度には、新潟~新潟新幹線車両センター5.1kmの回送線で自動運転レベルをGoA4に引き上げることを目指す。この区間の回送列車は、運転士だけでなく車掌などの係員も乗務しないドライバーレス運転を行う。
2030年代中ごろには、東京~長岡でレベルGoA2の自動運転を導入。その後、自動運転の範囲を東京~新潟に拡大する方向で検討を深度化する。東京~新潟に拡大した時点で、営業列車は運転操作を行わない係員のみ乗務するレベルGoA3のドライバーレス運転を導入。回送列車はレベルGoA4の完全なドライバーレス運転を導入する考えだ。
JR東日本は現在、最適な運行パターンで自動運転を行う装置の開発を進めている。この装置は加減速や定位置停車に加え、臨時速度制限や臨時停車などにも対応。自動でダイヤ通りの走行や効率的な省エネルギー運転を行う。
2019年度から試験車両のE956形電車「ALFA-X」を使った走行試験を実施しており、2028年度のレベルGoA2の自動運転導入にあわせた使用開始を目指す。このほか、列車の異常な振動を検知する機能の開発も進めており、2029年度のレベルGoA4による自動運転の導入にあわせた使用開始を目指す。
JR東日本によると、自動運転を導入することで安全性や輸送安定性の向上と省エネ効果が期待できる。また、ドライバーレス運転の導入で需要に応じた柔軟な列車運行ができるほか、乗務員がさまざまな業務に従事できるようになるという。
JR東日本は上越新幹線に自動運転を導入後、続いて北陸新幹線にも導入。最後に東北新幹線へと順次拡大する方針だ。同社によると、新幹線のような高速鉄道にドライバーレス運転を導入するのは上越新幹線が世界初になるという。
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