甘木鉄道「新型車両」導入、現在の車両をすべて更新へ 運賃値上げを申請



甘木鉄道(福岡県)は8月13日、国土交通省の九州運輸局長に旅客運賃上限変更認可を申請した。認可された場合、甘木鉄道は10月1日に運賃を値上げする考え。物価高による経費の増大や老朽化した車両の更新に対応する。

甘木鉄道のAR300形。【撮影:草町義和】

普通旅客運賃の上限は初乗り(1kmまで)が現行120円のところ20円値上げの140円に。14kmまでの区間は現行370円から60円値上げの430円になる。定期旅客運賃の上限は1カ月の場合、14kmまでの区間で通勤が2120円値上げの1万6210円に。通学は1300円値上げの9920円になる。これにより2025~2027年度の3年間で16%の増収を見込む。

甘木鉄道によると、コロナ禍の影響で2020年度から2022年度まで大幅な赤字に。昨年度2023年度の運賃収入はコロナ禍が本格化する前の2019年度を超えたが、物価高や施設・設備の老朽化に対処する費用の増大、人件費の高騰などで引き続き赤字だった。2024年度の計画でも若干の回復傾向はあるものの赤字が見込まれている。

その一方で車両・保線・電気関係の設備投資も必要で、2025年度からは車両の老朽化に対応するため新型車両を導入し、現在運用している車両をすべて更新する。また、2026年度以降には基山駅と小郡駅にエレベーターを設置する。こうしたことから運賃改定を申請したという。

甘木鉄道のAR400形。【撮影:草町義和】

甘木鉄道はJR鹿児島本線の基山駅で分岐して甘木駅までの13.7kmを結ぶ甘木線を運営する第三セクター。同線はかつて国鉄線で、1986年に甘木鉄道が経営を引き継いだ。現在の車両は富士重工業(現在のSUBARU)の軽快気動車シリーズ「LE-DC」を採用したAR300形気動車7両とAR400形気動車1両の合計8両。このうちAR400形は日本宝くじ協会の助成を受けた「宝くじ号」でイベント対応車両になっている。2001年から2006年にかけ製造されており、最も古い車両は製造から23年が経過している。

《関連記事》
JR九州「29年ぶり」運賃・料金値上げ申請 初乗り200円、通勤定期は30%
福岡市「新線11ルート」事業費など試算 福岡空港国際線やアイランドシティなど