国土交通省の九州運輸局長は8月8日、西九州線(佐賀県・長崎県)を運営する松浦鉄道が申請していた旅客運賃上限変更を認可した。これを受けて松浦鉄道は上限運賃の範囲内で適用する実際の運賃(実施運賃)を届け出て、10月1日に運賃を値上げする。改定率は18.4%。
普通旅客運賃の上限は初乗り(1kmまで)が30円値上げの200円に。27~30kmは170円値上げの1060円、90~94kmが490円値上げの3090円になる。ただし一部の区間は特定運賃として上限運賃より安くなる。
おもな区間の運賃(実施運賃ベース)は、有田~伊万里13.0kmが現行460円のところ90円値上げの550円。伊万里~松浦22.6kmは現行700円から130円値上げの830円、たびら平戸口~佐世保42.6kmは現行1340円から120円値上げの1460円になる。
松浦鉄道が運賃を改定するのは2016年以来8年ぶり、同社によると、沿線高校への通学生の減少に歯止めがかからない状況。2020年度の輸送人員はコロナ禍の影響で開業以来最低の225万人に落ち込んだ。2023年度の輸送人員もコロナ禍前の水準に回復しない見込み。一方で燃料費の高止まりや資材価格の上昇傾向がしばらく続くと予想され、運転士を中心とした人材不足による人件費の引き上げも必要な状況。こうしたことから運賃改定を申請したという。
鉄道事業の収支は2022年度が収入の6億8705万4000円に対し費用は9億4039万6000円で、2億5334万2000円の赤字。2025~2027年度の3年間合計の推計では現行運賃のままなら4億8504万4000円の赤字だが、運賃を改定した場合は赤字額が1億471万5000円に縮小される見込み。
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