ひたちなか海浜鉄道の再構築実施計画「認定」路線延伸など着手へ



国土交通省の関東運輸局長は12月22日、茨城県ひたちなか市とひたちなか海浜鉄道が申請していた鉄道事業再構築実施計画を認定した。計画期間は来年2026年4月1日から2036年3月31日までの10年間。路線の延伸や既開業区間の施設更新などを図る。

湊線の現在の終点、阿字ヶ浦駅。【撮影:草町義和】

対象路線は、ひたちなか海浜鉄道が運営する湊線の勝田~那珂湊~阿字ヶ浦~新駅1(仮称)~新駅2(仮称)で17.4km。このうち阿字ヶ浦~新駅2の約3.1kmは未開業の延伸区間で、国営ひたち海浜公園へのアクセス向上を図る。新駅1駅は国営ひたち海浜公園の南口ゲート付近に整備。終点の新駅2駅は西口ゲート付近に設ける。

再構築実施計画の対象区間。【画像:国土交通省/国土地理院地図】
新駅1駅の予定地とみられる場所。【撮影:草町義和、加工:鉄道プレスネット】

再構築実施計画では、ひたちなか海浜鉄道が第1種鉄道事業者として引き続き湊線の線路施設を保有して列車を運行。その一方、ひたちなか市は茨城県とともに鉄道施設などの設備更新や維持・修繕に要する費用の全額を負担する事業構造(みなし上下分離方式)に移行する。同時に延伸区間の整備費もひたちなか市が茨城県の支援を受けながら一部負担する。

再構築実施計画の事業費は10年間で合計148億2000万円。このうち126億5000万円を利便確保策に投じ、その一部は社会資本整備総合交付金を活用する予定だ。おもな利便確保策は延伸区間の整備のほか、阿字ヶ浦駅に列車交換設備を整備。那珂湊~阿字ヶ浦で同時に複数の列車を運行できるようにし、輸送力の強化や輸送障害発生時の運転整理の迅速化などを図る。また、那珂湊駅と延伸区間の新設駅にキャッシュレス券売機を導入。クレジットカードなどの各種決済に対応する。那珂湊駅構内のトイレの洋式化も図る。

残りの21億8000万円は既存施設の更新など。レールの重軌条化や老朽化した道床・分岐器の更新、信号警報機などの踏切保安装置の更新を行う。このほか、沿線の学校や企業などに対し定期券の購入促進活動を行うなど利用者の増加を目指す。

既存施設も再構築実施計画によりレールの重軌条化などが行われる。【撮影:草町義和】

再構築事業を実施した場合の2035年度の年間輸送人員は145万1000人を見込み、事業収支は5500万円の黒字を見込む。再構築事業を実施しない場合は年間輸送人員が100万4000人で、事業収支は3900万円の赤字が見込まれるという。

ひたちなか海浜鉄道は2021年1月に延伸区間の第1種鉄道事業許可を取得。その後、新駅1駅の位置を変更したうえで阿字ヶ浦~新駅1を第1工区として先行整備する計画に変更し、昨年2024年11月に第1工区の工事施行認可を受けた。ひたちなか市とひたちなか海浜鉄道は来年度2026年度から詳細設計や地質調査に着手するとしている。

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