関電トンネルトロリーバス「奇跡的」に残った1両を長野県大町市で保存へ



長野県の大町市は3月10日から、関電トンネル(長野県大町市・富山県立山町)で運転されていた無軌条電車(トロリーバス)を大町市内で保存するためのクラウドファンディングを始めた。

2018年まで運転された関電トンネルトロリーバスの300形。【画像:大町市】

目標金額は300万円。2018年に運転を終了したトロリーバスの300形電車15両のうち、解体を免れた1両の保存資金に充てる。期間は4月30日23時まで。

関西電力が運営していた関電トンネルトロリーバスは、山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」の一部を形成する鉄道扱いの乗り物として1964年に開業。開業時から1969年にかけ、100・200形電車が導入された。その後1993年から1996年にかけ、老朽化した100・200形の更新用として300形電車が導入されている。

2010年代後半には300形も更新時期を迎えたが、関西電力はトロリーバスから電気バスに置き換えることを決め、鉄道路線としては2018年11月30日限りで廃止された。これに伴い300形の運転も終了。大町市は保存を検討したが費用面から断念し、300形はすべて解体することが決まった。

しかし大町市によると「ファンの方の保存交渉を受けた解体業者の方々の判断により、奇跡的に『最後の1台』が残されていたことが発覚」したという。これを受けて大町市は、300形の買取費用や大町市までの輸送費用、維持管理費などの資金をクラウドファンディングで募ることにした。

クラウドファンディングは3月10日に開始。当初の目標金額は180万円としていたが、2日後の3月12日に達成した。現在は120万円を上乗せした合計300万円を「ネクストゴール」として募金を呼びかけている。

解体を免れた300形。【画像:大町市】