北陸新幹線の並行在来線を運営する第三セクター鉄道の5社間で業務連携を行うことが決まった。各地の地方鉄道で施設の老朽化や人員不足などの課題が表面化しているなか、除雪車の乗り入れや予備部品の相互融通などを行うことで業務の効率化を図り、課題の解決を目指す。
北陸新幹線の並行在来線を運営する第三セクター鉄道は、しなの鉄道(長野県)・えちごトキめき鉄道(新潟県)・あいの風とやま鉄道(富山県)・IRいしかわ鉄道(石川県)・ハピラインふくい(福井県)の5社。昨年2023年12月から国土交通省と5社が具体的な連携項目の検討を行い、今年2024年7月19日に検討結果を公表した。
おもな連携項目は「隣接事業者区間の除雪支援」「車両予備品リストの共有・相互融通」「軌道関連予備品の共同購入・相互利用」「各社の年間訓練(輸送・施設)スケジュール共有・相互見学」「各社の教育担当者による意見交換会実施」。一部の項目は実施している。
除雪の支援では、各社の路線境界を越えて除雪車を相互に乗り入れさせる。これにより双方の除雪作業を効率化するとともに安定輸送の確保を目指す。車両や軌道の予備部品は保有リストの共有や共同購入で相互に融通、利用する体制を構築。調達業務の効率化だけでなくトラブル発生時の対応の迅速化も図る。各社の訓練のスケジュール共有や共同見学、教育担当者の意見交換会なども行い、技術レベルの向上や研修業務の効率化を目指す。
北陸新幹線は1997年から2024年にかけ、高崎~敦賀の470.6kmが開業。並行在来線の信越本線・高崎~直江津と北陸本線・直江津~敦賀は一部を除き、各県ごとに設立された第三セクター5社が経営を引き継いだ。
国土交通省によると、日本の鉄道は沿線人口の減少や施設の老朽化、維持管理を担う人材の不足などの課題を抱えている状況。事業者が相互に連携して業務効率化を図ることが「課題解決の一つの有効な方策」という。同省は北陸新幹線の並行在来線をモデルケースに、地方鉄道事業者間の業務連携の検討を支援する考えだ。
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