廃止されたスカイレールの車両「自走式ロープウェイ」開発企業に譲渡へ



4月限りで廃止されたスカイレールサービス広島短距離交通瀬野線(広島市)の車両が、次世代型の交通システムの研究・開発を行っている企業に譲渡されることが分かった。

2024年4月限りで廃止されたスカイレール。【撮影:草町義和】

スカイレールの車両を譲り受けることになったのは、自走式ロープウェイ「Zippar(ジッパー)」を開発しているZip Infrastructure(ジップ・インフラストラクチャー、福島県南相馬市)。

同社の須知高匡社長がX(旧Twitter)のアカウントで5月23日、1両譲り受けることが決まったと話した。須知社長は「大先輩を分析しまくります」としており、軌道や車両の形態が似ているスカイレール車両を研究することでZipparの開発に生かす考えとみられる。

スカイレール車両の譲受を明らかにした須知社長のX(旧Twitter)での投稿。

スカイレールはロープを使う交通システム。駅間はロープウェイと同様にロープを動かすことで小型の搬器を移動させるが、駅構内はリニアモーターで自走する。広島のスカイレールは1998年に開業したが、利用者数が見込みより少なかったうえ、特殊なシステムの採用で維持費がかさんだこともあり、今年2024年4月30日限りで運行を終了して廃止された。

Zipparもスカイレールと同様にロープを使った交通システムだが、小型の車両が自走する方式。2本のロープ上にバッテリーとモーターを搭載した台車を載せ、車体は台車にぶら下がるようにして設置する。

開発中の交通システム「Zippar」。【画像:Zip Infrastructure】

Zip Infrastructureによると、モノレールに比べ約5分の1のコスト(1kmあたり15億円)で建設できるほか、ロープウェイと異なりカーブや分岐を設けることが容易で柔軟な路線設計ができるという。営業運行での実用例はまだない。

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