広島スカイレール「廃止許可」4カ月遅れ、代替バスは先行して運行開始



国土交通大臣は2月29日、スカイレールサービスが軌道法に基づき申請していた広島短距離交通瀬野線(スカイレール)の軌道運輸事業の廃止を許可した。廃止の1カ月前から代替バスが運行される。

4月30日限りで廃止されるスカイレール。【撮影:草町義和】

廃止されるのはJR山陽本線・瀬野駅に隣接するみどり口駅からニュータウン「スカイレールタウンみどり坂」にあるみどり中央駅までの1.3km。手続き上の廃止予定日は5月1日で、前日の4月30日にみどり口駅とみどり中央駅をそれぞれ12時00分に発車する便を最後に運行を終了する。

スカイレールの代替となる路線バスの運行も、スカイレールの廃止許可と同じ2月29日に中国運輸局長が認可した。運行開始日はスカイレールが廃止される1カ月前の3月30日で、この日はみどり中央10時06分発から運行を開始する。瀬野駅とニュータウンを循環する便と瀬野~みどり中央を走る急行便が設定され、運賃はスカイレールより30円高い200円。スカイレールサービスが事業主体として中型の電気バス(定員51人)を所有し、地元バス会社の芸陽バスに運行を委託する。

スカイレールの位置。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

スカイレールはスカイレールタウンみどり坂のアクセス路線として1998年に開業した。懸垂式モノレールだが神戸製鋼や三菱重工などが共同開発した特殊なシステムを採用。ロープウェイと同じロープを駆動して車両を運行し、駅構内ではリニアモーターで走行する。急勾配や急カーブに対応できるほか、同じ急勾配向け交通システムのロープウェイに比べ強風下でも運行しやすいなどの利点があるとされる。

スカイレールの終点・みどり中央駅。【撮影:草町義和】
スカイレールは急勾配や急カーブに対応している。【撮影:草町義和】

利用者が当初の見込みより少なかったうえ、特殊なシステムの採用で維持費がかさんだこともあって廃止されることに。当初は2023年12月に廃止される予定だったが、代替バスの手続きに時間がかかったため廃止時期が4カ月ほど延期された。

※追記:加筆しました。(2024年3月1日11時49分)

《関連記事》
広島スカイレール代替バス「急行便」設定 国内唯一システム、廃止後の施設の扱いは?
広島電鉄「PASPY」終了後の10カード「一部利用できなくなるサービス」も