秩父鉄道「自動遮断機ない踏切」緊急対策に加え廃止協議を加速へ 群馬県も全廃方針



秩父鉄道(埼玉県)は4月25日、同社の鉄道路線にある「第4種踏切」の緊急対策として「人感音声再生機」の設置を推進すると発表した。最終的にはすべての第4種踏切を廃止する方針で、関係者との協議を加速させる。

秩父鉄道の列車。【撮影:草町義和】

第4種踏切は自動遮断機が設置されておらず、列車の接近を知らせる警報装置もない踏切。秩父鉄道では第4種踏切が85カ所にある。国土交通省の公表資料(2023年3月末時点)によると、私鉄や第三セクター鉄道などJR以外の鉄道事業者では最も多く、JR北海道(82カ所)と比べても3カ所多い。このほか、踏切として指定されていない場所にもかかわらず沿線住民などの通り道になっている事実上の踏切(勝手踏切)も2021年3月時点で18カ所あったとされている。

秩父鉄道によると、85カ所のうち通行者側からの見通しが悪いと考えられるなど40カ所に人感音声再生機を設置。人が近づくと自動的に注意喚起のアナウンスが流れる。機器更新時には発行機能も追加した。このほか、2カ所に通路保安装置が設置されている。今後は残る43カ所について、緊急対策として人感音声再生機を順次設置する考え。設置費用は1カ所につき約15万円という。

同社は基本的には第4種踏切を廃止する考えで、道路管理者などとの協議を加速させる方針だ。その一方、自動遮断機の設置や保安係の配置を行う第1種踏切への転換については「初期投資費用および維持管理費用の負担軽減等を関係者と協議していく」としており、公的支援がなければ第1種踏切には転換しない考えを示唆している。

秩父鉄道には第4種踏切が85カ所ある。【撮影:草町義和】

第4種踏切は第1~3種踏切に比べ安全対策が手薄で、死傷事故も多い。運輸安全委員会の報告書が出ている第4種踏切の死傷事故は、2018年4月~2023年4月の5年間で22件発生している。

今年2024年4月6日には上信電鉄(群馬県)の第4種踏切で、小学4年生の子供が列車にはねられて死亡する事故が発生。これを受けて群馬県は4月25日、同県内にある第4種踏切を全廃する方針を決めた。まず9月末までに各第4種踏切ごとに廃止または第1種踏切への転換などの対応方針を決める。来年2025年7月初旬から工事を開始。2029年度末までに対策を完了する考えだ。

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