東海道新幹線「23年ぶり」個室が復活へ 「グリーン車より上級」サービスの一つ



JR東海は4月17日、東海道新幹線に個室を導入すると発表した。現在のグリーン車より上質な設備・サービスの一つと位置付けて展開する。

個室が設置されていたころの東海道・山陽新幹線の100系(1990年)。【撮影:草町義和】

現在の計画では、個室は東海道新幹線のN700S電車の一部に導入。デッキ部にある現在の業務用スペースを活用して1編成につき2室を設ける。7号車「S Work」車両の利用者なら追加料金を払うことで使えるビジネスブースとは異なり、「高いプライベート感・セキュリティ環境を備えた完全個室タイプの座席」になる。

室内にはレッグレスト付きのリクライニングシートを設置。個室専用のWi-Fiや個別に調整できる照明(明るさ)・空調(風量)・放送(音量)などの設備・機能を整備する。オンラインなどでの打ち合わせを気兼ねなく行いたいビジネス客やプライバシーを重視する客、周囲を気にせずゆっくりとくつろぎたい客の利用を想定しているという。

N700Sに設置される個室のイメージ。【画像:JR東海】

JR東海が今回発表した個室のイメージでは向きを固定した座席を一つだけ設けているが、同社の東京広報室によると、1室につき一人ないし二人の利用を想定して検討を進めているという。

サービス開始は2026年度中の予定。導入路線は現時点では東海道新幹線としているが、山陽新幹線に乗り入れて東京~博多とするかどうかはJR西日本との今後の協議次第になりそうだ。個室の料金は未定だが、現在のグリーン料金より高くする方向で検討されるとみられる。

個室が導入されるN700S。【画像:クリストファー/写真AC】

JR東海は2022年10月、同社が目指す「鉄道の将来像とその主な取組み」を発表。そのなかで「移動時間を一層快適にお過ごしいただけるようなグリーン車の上級クラス座席や、ビジネス環境を一層高めた座席の設定などを検討します」との文言を盛り込んでいた。

東京広報室は「今回発表した個室は『グリーン車の上級クラス座席や、ビジネス環境を一層高めた座席』の検討結果の一つ。引き続き検討を進める」としている。今後のさらなる検討の結果によっては個室だけでなく、東北新幹線のグランクラスや中国高速鉄道の商務座のような開放型の上級クラス座席の導入も考えられそうだ。

100系のグリーン個室で実際に使われていたカードキー(1995年ごろ)。【画像:JR東海】

東海道新幹線ではグリーン個室を備えた100系電車が2003年9月に運用を終了しており、現在の予定通りに進めば23~24年ぶりに個室が復活することになる。山陽新幹線と博多南線では4人用の普通個室を設けた700系7000番台電車が運用されており、一部の列車のみ個室を利用できる。

※一部修正しました。(2024年4月18日13時02分)

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