西武鉄道は3月6日、多摩川線で無線式列車制御システム(CBTC)の走行試験を実施すると発表した。このほど実証実験に向けた準備工事を完了し、3月10日から実施する。
実証実験の期間は来年2025年1月までの予定。多摩川線・武蔵境~是政の8.0kmで実施し、営業運転の終了後に走行試験を行う。速度・距離の算出や列車の検知機能、列車の制御機能などを検証する。踏切とCBTCの関係では、踏切内に異常がある場合に踏切手前までに停止するブレーキパターンを出力できるかどうかを確認。列車速度に応じて踏切の鳴動開始点を切り替え、鳴動時間の適正化が図れるかどうかも確認する。
CBTCは次世代信号保安装置の一種。無線技術を活用して列車の位置と速度を常時把握し、列車間の安全な距離を確保するよう速度を制御する。地上設備を減らすことによるコスト削減や、高度な自動運転に対応できるなどの利点がある。
西武鉄道が今回実証実験を行うのは、同社が開発を進めている「西武式CBTCシステム」。西武鉄道の車両と相互乗り入れ車両に搭載されている設備や地上設備の一部を活用したもので、西武鉄道は効率的にCBTCを実現することができるとしている。
西武鉄道は走行試験での検証結果や鉄道各社の動向などを踏まえて次世代信号システムの方式を決定し、2030年代に全線での導入を目指すとしている。
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