福井鉄道「減便」ダイヤ改正、昼間の急行を廃止 利用者増えていたが人手不足



福井鉄道は8月14日、福武線のダイヤ改正を10月14日に実施すると発表した。人手不足などを受け「日中の時間帯を中心に輸送力の適正化」を図るとして減便などを行う。

福井鉄道の列車。【撮影:草町義和】

昼間は急行列車の運行を取りやめ、普通列車30分間隔の運行に。一方で多様な乗車需要に応えるとして、たけふ新~福井駅に臨時急行列車を設定する。運行日や時刻などは運行時に案内する。昼間から夕方のえちぜん鉄道直通列車は、福井駅経由の普通列車として運行する。

始発列車の繰り下げや最終列車の繰り上げを行う。たけふ新発は始発列車を10分繰り下げて6時00分発に。平日の最終列車は11分繰り上げて22時00分になる。田原町発は平日の最終列車が42分繰り上げの22時11分になる。

現在の運行本数は平日で105本だが、ダイヤ改正後は25本少ない80本に減便。休日も現在の98本から22本少ない76本になる。

福武線の1日平均の通過人員(輸送密度)は1960年代から減少し続け、1995年に3000人を割り込んだ。2008年度は2134人と1000人台が目前に迫り、路線の存廃も取りざたされていた。

このため2009年度から鉄道事業再構築事業に着手。国や沿線自治体の支援を受けて新駅の整備や、えちぜん鉄道との相互直通運転などの施策が実施された。その結果、利用者は増加基調に転じ、コロナ禍前の2018年度の輸送密度は10年前に比べ300人ほど多い2425人となった。コロナ禍の2020年度は1887人で2000人を割り込んでいる。

福井鉄道への乗り入れで使われているえちぜん鉄道L形電車「ki-bo」。【撮影:草町義和】

福井鉄道は減便を伴うダイヤ改正の理由として「お客様のご利用状況の変化への対応」のほか「運転士の負担軽減、夜間保守作業時間の確保」も挙げており、人手不足が深刻になっていることを示している。今後、コロナ禍の収束で利用者が再び増加基調になったとしても、元の運行本数に戻せるかどうか不透明な状況だ。

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