福井鉄道は6月30日、国土交通省の中部運輸局長に鉄軌道事業の旅客運賃上限変更認可を申請した。平均改定率は普通旅客運賃が17.6%で、定期旅客運賃は通勤15.0%、通学14.8%。認可された場合、福井鉄道は来年2024年3月に運賃を値上げする予定。
普通旅客運賃の上限は鉄道の各距離帯で30~70円の値上げ。2kmまでは30円値上げの210円、10kmまでは60円値上げの410円、18kmまでは70円値上げの470円だ。軌道は均一区間が30円値上げの190円。均一区間~赤十字前も30円値上げの210円になる。鉄道と軌道の連絡運賃は40~80円の値上げ。2kmまでは40円値上げの270円、10kmまでは70円値上げの450円、18kmまでは80円値上げの510円になる。
定期旅客運賃の上限は1カ月で10kmまでの場合、鉄道の通勤定期が1810円値上げの1万4760円。通学は1080円値上げの1万1070円になる。鉄道・軌道の連絡運賃は10kmまでの区間で通勤が1万7550円、通学が1万2960円。軌道は1カ月の場合、均一区間が通勤で690円値上げの7410円、通学は940円値上げの6270円。均一区間~赤十字前は通勤が8190円、通学が6930円だ。
申請によると、福井鉄道の差引損益(行政支援分を除く)は2022年度で2億4012万円の損失だった。現行運賃を維持した場合、2024年度~2026年度の損失は3年間平均で2億6844万円だが、値上げした場合の損失額は2億1281万円で約5600万円の縮小を見込む。
福井鉄道によると、同社の鉄軌道事業はモータリゼーションの進行や人口減に伴う利用者の減少で1960~1970年代から赤字決算が続いている。これに加えてコロナ禍の影響で利用者がさらに減少。電気料金の高騰や施設の老朽化対策もあり、鉄道輸送の安全確保や経営健全化を図るため、運賃の改定を申請したという。
一方で福井鉄道は、客から実際に収受する運賃(実施運賃)について「今後の物価や電気料金の動向などを考慮して別途設定する予定」としており、今回申請した運賃より安い運賃を設定する可能性を示唆している。
鉄道の旅客運賃は上限額を変更する場合は国土交通大臣の認可を受ける必要があるが、認可された上限額より安い運賃を設定する場合は認可を受ける必要がなく、国交相への届出だけで済む。
《関連記事》
・福井鉄道・えちぜん鉄道など「全国交通系ICカード」導入へ 福井県が予算計上
・福井鉄道の新型車両「F2000形」3月27日から営業運行へ 貸切ツアーを先行実施