一部不通の豊肥本線で長期計画を策定 列車にカメラ搭載で線路巡視の効率化など検討



熊本地震の影響で一部不通になっている豊肥本線についてJR九州はこのほど、同線の「長期的な運行の確保に関する計画」(長期運行確保計画)を沿線の自治体などと共同で作成し、国土交通大臣から災害復旧補助の補助金交付決定通知を受領した。2020年度内の全線再開を目指す。

熊本地震発生直後の阿蘇大橋周辺。豊肥本線や国道57号が土砂で埋もれた。【画像:国土地理院】

豊肥本線は大分~熊本間148.0kmの鉄道路線。2016年4月に発生した熊本地震で線路に土砂が流入するなどの大きな被害が発生し、阿蘇~肥後大津間27.8kmが運休している。JR九州は2017年に復旧事務所を設置し、復旧工事を進めてきた。

同社が今年2020年3月24日に発表した長期運行確保計画の概要によると、JR九州は観光キャンペーンの実施や観光列車のPR、枕木の強化や排水設備の新設などによる保守コストの削減などで豊肥本線の経営を改善。営業列車にカメラを搭載することで線路巡視の効率化を図ることも検討する。

熊本県や沿線自治体も豊肥本線の利用促進を支援。熊本空港の利用者に対し同空港と肥後大津駅を結ぶシャトルバス「空港ライナー」をPRする。また、豊肥本線から分岐する南阿蘇鉄道との接続強化や、熊本空港アクセス鉄道の開業による利用促進も目指す。

災害で不通になった鉄道を復旧する場合、鉄道軌道整備法に基づく災害復旧の補助金を使うことができる。この補助金の交付を受けるためには、復旧後も持続的に鉄道路線を運営するための長期運行確保計画を策定して申請する必要があり、JR九州は熊本県や関係市町村と共同で長期運行確保計画を作成。3月16日付けで補助金交付決定通知を受領した。

補助対象外の費用も含めた復旧費の総額は約50億円。補助対象額の半分を国と熊本県が補助する。