豊橋鉄道「40年ぶり」運賃値上げへ 乗継割引の引き上げや拡大なども計画



豊橋鉄道(愛知県)は3月27日、国土交通省の中部運輸局長に鉄軌道事業の旅客運賃上限変更認可を申請した。認可された場合、豊橋鉄道は来年2024年春頃に運賃を値上げする。

40年ぶりの本格的な運賃改定になる豊橋鉄道渥美線。【画像:403f/写真AC】

渥美半島の鉄道路線(渥美線)は改定率が12.6%。普通旅客運賃はすべての距離帯で一律30円の値上げになる。初乗り(2kmまで)は現行140円を170円に改定。18kmまでの運賃は現行520円が550円に変わる。定期旅客運賃は大人・1カ月の場合、通勤定期が全距離帯で一律1260円の値上げ。通学定期は一律900円の値上げになる。

豊橋市内で運行している路面電車(東田本線=市内線)の改定率は11%。普通旅客運賃が現行180円から20円値上げの200円になる。定期旅客運賃は大人・1カ月の場合、通勤が840円値上げの8400円。通学は600円値上げの6000円だ。

豊橋鉄道によると、自動車交通の進展や人口減少に加え、コロナ禍をきっかけにした新しい生活様式の定着による行動変容などの影響もあり、鉄軌道事業を取り巻く環境は非常に厳しい状況。その一方で施設や車両の老朽化もあり、維持費の増加や原材料費の高騰などが大きな負担となっている。こうした状況のなかでも鉄軌道事業の安定経営を図るため、運賃改定を申請した。

今後はレールの重軌条化やICカードシステム対応機器の更新などを実施。市内線では780形電車のVVVF制御装置の更新と800形電車のVVVF制御装置の予防保全も行い、経年劣化を原因とする故障の発生を未然に防止して安定運行を図る。

サービス向上策も計画しており、ICカード「manaca」で渥美線~市内線を90分以内に乗り継ぐ場合に適用される乗継割引運賃は、現在の40円から80円に引き上げ。乗継割引運賃の適用範囲も2025年春に拡大し、渥美線~豊鉄バスや市内線~豊鉄バス、豊鉄バス~豊鉄バスでも乗継割引運賃を適用する。

また、通学定期券の割引率は渥美線・市内線とも、現在は3カ月定期が1カ月定期の3倍に対し5%引き、6カ月定期は1カ月定期の6倍に対し7%引きとしているが、運賃改定後は6カ月定期について10%引きにするという。

豊橋市内を走る路面電車の豊橋鉄道市内線。【画像:流麗まちゅみ/写真AC】

消費税の導入や税率引き上げによるものを除くと、運賃の値上げは市内線が2019年以来5年ぶり。渥美線は1984年以来40年ぶりになる。

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