熊本市の大西一史市長は1月24日、熊本市電の延伸事業について、スケジュールを見直す考えを明らかにした。上下分離方式の導入延期に続き、延伸事業も延期される可能性が高くなった。

熊本市は熊本市電への上下分離方式の導入と路線延伸を計画。まず4月から上下分離方式の経営に移行し、健軍線を延伸する形になる東町線(仮称)・健軍町~市民病院前(仮称)の約1.6kmを2031年度までに整備する方針だった。
昨年2024年2月以降、熊本市電では脱線などのトラブルが続発。大西市長は11月、安全体制の再構築を優先するとして上下分離方式の導入延期を発表した。その一方で延伸事業は「(安全体制の再構築と延伸は)直接にはリンクしない」として、従来のスケジュール通りに進めていく考えを示していた。

しかし今年2025年1月14日、熊本城・市役所前停留場付近で2本のレールの間隔(軌間)が規定値より拡大していることが確認され、翌日から一部区間で運転を見合わせに。大西市長は1月24日の記者会見で市電の運転見合わせを謝罪するとともに「レールの緊急補修など今後取り組むべき市電の安全確保を確実に実行して最優先に取り組むため、市電の延伸事業は延期も含め現在のスケジュールを見直すよう指示した」と話した。
どのくらい延期するかは「現時点では未定」として明言を避けた。熊本市は今後、延伸事業の実施設計の見送りに伴う予算の減額も含め市議会に提示し、最終的な判断を行う考えだ。
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