WBCで話題の行先表示幕「村上(吉田経由)」どこを走ってた? 経由地を追記の理由



米国フロリダ州マイアミで開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3月21日(日本時間3月22日)、日本が14年ぶり3度目の優勝を果たした。この大会が行われているさなか、「村上(吉田経由)」という日本の鉄道車両の行先表示幕が話題になった。

新潟地区で運用されていた115系。【撮影:草町義和】

WBCと直接の関係はないが、日本チームの4番・吉田正尚選手から5番・村上宗隆選手の打順を想像させるような表示だ。この表示幕は新潟地区のJR線の普通列車で運用されていた、115系電車の行先表示装置に搭載されていた。

「村上(吉田経由)」の列車は、新潟県中部(中越地方)の柏崎駅から越後線・新潟駅・白新線を通って北上。同県北部(下越地方)の羽越本線・村上駅まで運行されていた。越後線の途中には弥彦線が合流する吉田駅がある。

越後線と弥彦線が合流する吉田駅。【撮影:草町義和】

1988年3月ダイヤ改正の時刻表を見ると、柏崎駅から村上駅まで吉田経由で直通する普通列車が1本設定されている。時刻は柏崎13時14分発→吉田14時23分着・14時43分発→新潟15時35分着・15時38分発→村上17時04分着。3時間50分という長時間で、柏崎→新潟だけでも2時間20分ほどかかった。

柏崎→村上(吉田経由)の普通列車の時刻。【画像:『交通公社の時刻表』1988年3月号】

この列車の運行区間のうち柏崎~新潟は越後線だけでなく信越本線もある。越後線が海側を通るのに対し、信越本線は長岡や三条など新潟県内の主要都市がある山側を経由。柏崎から長岡に向かうつもりで新潟行きの列車に乗ったら、長岡を通らない越後線経由の列車だった……ということになりかねない。経由地をカッコ書きで追記していたのは、誤乗車を防止するためだったといえる。

柏崎~新潟~村上とその周辺のJR線。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

現在、柏崎~村上を直通する列車は運行されていない。「村上(吉田経由)」の表示幕を搭載していた新潟地区の115系も新型のE129系電車への置き換えが進み、昨年2022年3月のダイヤ改正に伴い引退している。

ちなみに、115系の先頭車を静態保存している温泉施設「万葉超音波温泉」(長野県千曲市)は3月21日から、側面の行先表示幕を「村上(吉田経由)」に切り替えて展示していることを公式ツイッターで明らかにした。115系の修繕工事が行われるため3月27日までの期間限定だ。

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