上毛電鉄「東京メトロの中古車」導入へ 新造車から方針転換、もと京王3000系を更新



上毛線(群馬県)を運営する上毛電鉄が新しい車両を導入する計画を立てていることが3月1日までに分かった。老朽化した現在の車両の更新を図る。

もと京王井の頭線3000系の上毛電鉄700形。【撮影:草町義和】

群馬県の県土整備部などによると、2両編成1本を来年度2023年度に導入する考え。車両は新造せず、東京メトロから中古車両を購入するという。購入費用は3億円で、国・群馬県・沿線自治体がそれぞれ3分の1ずつ負担する。群馬県は2023年度の当初予算案で車両の購入費を含む設備整備費として1億3600万円を計上した。

上毛線は中央前橋~西桐生の25.4kmを結ぶ単線電化路線。同線では現在、1998年から2000年にかけ導入された700形電車16両(2両編成8本)がおもに運用されている。京王電鉄の井の頭線で運用されていた3000系電車のうち1960~1970年代に製造された車両を改造したもので、老朽化が進んでいる。

このため上毛電鉄の第5期経営再建計画(2018~2022年度)で代替となる車両の新造が盛り込まれたが、2020年3月には「受注可能なメーカーが不在」として中止に。次期経営再建計画のなかで車両の更新を検討することになっていた。

順次引退している丸ノ内線の02系。【撮影:草町義和】
2020年までに日比谷線での運用を終了した03系。【撮影:草町義和】

東京メトロから購入する車両の形式などは明らかにされていない。車体の大きさが現在の700形に近く、引退済みか順次引退している東京メトロの車両としては、日比谷線で運用されていた03系電車(8両編成)や丸ノ内線の02系電車(6両編成)がある。

どちらも2両編成化の改造が必要。とくに02系は軌間1435mm・直流600V・第三軌条式に対応した車両のため、上毛線(軌間1067mm・直流1500V・架空電車線式)に導入する場合は大規模な改造が必要だ。一方で03系は引退から3年が過ぎてほかの地方私鉄への譲渡や廃車が進んでおり、東京メトロに残っている車両は少ない。

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