東急田園都市線「8500系」来年1月に引退へ ヘッドマークや貸切列車などイベント



東急電鉄は4月5日、田園都市線で運用している通勤電車「8500系」の定期運行を来年2023年1月に終了すると発表した。同社は8500系の引退記念企画「『ありがとうハチゴー』プロジェクト」を4月6日に開始。ヘッドマークの装着、有料撮影会、貸切イベント列車の運行、記念グッズ・記念切符の販売を実施する。

2023年1月までに全編成が引退する8500系(写真は2020年に引退した第8627編成)。【撮影:草町義和】

ヘッドマークは4月20日から定期運行の終了まで装着。現業社員がデザインしたオリジナルで、現在残っている2編成(第8631編成と第8637編成)の両先頭部に1枚ずつ装着する。

ヘッドマークの一例。【画像:東急】

有料撮影会は4月17日、長津田検車区で行われる。2編成の並びを撮影できるほか、過去に掲出したヘッドマークを装着したフォトセッションも実施。客室内も撮影できる。10時~10時50分と11時~11時50分の2部制で、各回30組を先着順で募集する。発売価格は8500円(18歳以上の参加者一人につき小学生以下一人が無料で参加可能)。4月6日10時からクラブツーリズムのウェブサイトで申込みを受け付ける。

貸切イベント列車は5月8日に運行。長津田検車区の洗浄線から出発し、車庫線を経て長津田→鷺沼間を走る。鷺沼~宮前平間の本線上で折り返し(通称「谷落とし」)、再び田園都市線を走行して長津田検車区まで戻る。12時集合~14時30分解散の予定。参加できるのは15歳以上の人で、発売額は5000円。100人を先着順で募集する。申込みは4月18日10時からクラブツーリズムのウェブサイトで受け付ける。

記念グッズは「8500系車両機器音」(ダウンロード商品、110~220円)を4月16日10時からオンラインショップ「TOKYU STYLE」で発売。過去に使用されたヘッドマークをデザインしたクリアファイルやチャーム付きアクリルキーリングなども新たに発売する。

8月上旬には記念切符「ありがとう8500系記念きっぷ(仮称)」が発売される予定。発売額は1セット2000円で、東急線のおもな駅で発売される。事前予約やネット発売は行われない。

このほか、4月17日10時に「ありがとうハチゴー」特設サイトが開設される。8500系の歴史や特徴を紹介するほか、今後のイベント情報やグッズ紹介コーナーも設け、新しい情報を随時更新する。

8500系は1975年にデビューした通勤電車。1977年に開業した東急新玉川線(現在の東急田園都市線)と1978年に開業した営団地下鉄(現在の東京メトロ)半蔵門線の直通運転に対応し、1991年までに400両が製造された。

定期運行を終了する8500系。現在運用されているのは第8631編成(右奥)と第8637編成(左手前)のみ。【画像:東急】

もともとは1969年にデビューした東横線8000系のマイナーチェンジ車の扱いで、車体はオールステンレス製。車体側面の下部に「コルゲート」と呼ばれる波状の板を貼り付けており、車両正面には赤帯を入れたデザインを採用した。運転装置にはワンハンドルマスコンを採用。保安装置は車内信号式の自動列車制御装置(ATC)を搭載するなど、当時としては先進的な技術を採用した。

インドネシアの都市鉄道に譲渡された8500系。【撮影:草町義和】

新型車両の導入で順次引退し、4月5日時点では第8631編成と第8637編成の10両編成2本のみ運用されている。引退した車両の一部は長野電鉄や伊豆急行、秩父鉄道、インドネシアの都市鉄道に譲渡。東急テクノシステムが2両を検修・技術伝承を目的に静態保存している。

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