東急電鉄8500系「幕車」先頭車が静態保存へ グループ会社「研修や技術伝承」で使用



東急電鉄は11月2日、「幕車」こと8500系電車の第8606編成の先頭車を、鉄道車両の改造などを手がけるグループ会社の東急テクノシステムに譲渡したことを明らかにした。

8500系の「幕車」こと第8606編成。列車種別や行き先を表示する装置が最後まで字幕式だった。【画像:K.O/PIXTA】

10両編成の第8606編成は5月11日に引退。東急電鉄は7月17日に同編成の先頭車2両(8506・8606)を東急テクノシステムに譲渡した。東急電鉄によると、東急テクノシステムは研修や技術伝承のための施設として第8606編成の先頭車を使用する予定としており、静態保存される見込みだ。

8500系は1975年から1991年にかけ400両が製造された、現在の田園都市線用の電車。乗り入れ先の東京地下鉄(東京メトロ)半蔵門線の保安システムに対応するため、東急電鉄の車両としては初めて自動列車制御装置(ATC)を搭載した。

種別や行き先の表示装置は、文字をプリントした幕を回転させる方式(字幕式)を採用したが、のちにLEDで表示する方式に順次改造された。第8606編成は最後まで字幕式で残ったことから「幕車」と呼ばれていた。

第8606編成の先頭車2両が搬出されたときの模様。【動画:東急電鉄】

8500系のほかの車両も、新型車両の2020系電車の導入に伴い順次引退しており、数年後には全車引退の見込み。引退した車両の一部は長野電鉄・伊豆急行・秩父鉄道に譲渡されたほか、インドネシアの首都ジャカルタの都市鉄道にも譲渡されている。