芳賀・宇都宮LRTの試運転区間「拡大」脱線で損傷の車両、修繕に1億7000万円



8月の開業に向け準備が進む「芳賀・宇都宮LRT」の平石~グリーンスタジアム前の5.9kmで、3月1日から試運転が始まる。宇都宮市が明らかにした。

芳賀・宇都宮LRTに導入されるHU300形「ライトライン」。【撮影:鉄道プレスネット】

平石~グリーンスタジアム前の試運転はまず3月1~3・6~9日に実施される予定。運転時間は9~18時で、走行安全性を確認後、引き続き振動加速度計によるデータ収集のための走行調査が行われる予定だ。軌道敷と車道とのあいだにはバリケードを設置する。

芳賀・宇都宮LRTは宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地を結ぶ路面電車タイプの軽量軌道交通(LRT)。宇都宮市と栃木県芳賀町が軌道を整備、保有し、第三セクターの宇都宮ライトレールが運行する。宇都宮駅東口~平石は昨年2022年10月に工事が完了し、11月から試運転が行われている。今年2023年3月には試運転区間が拡大するとともに、全線の工事が完了する予定。4月から全線の試運転が始まる予定だ。その後は6月から運輸開始認可の手続きを行い、8月の開業に備える。

宇都宮駅東口~平石の試運転では2022年11月、脱線事故が発生した。事故現場の宇都宮駅東口停留場付近には半径25mの急カーブがあり、外側のレールは内側のレールより2cm高い「カント」を設けている。その手前には複線の線路を移動するための渡り線が設けられている。

事故を受けて設置された有識者会議の中間報告(2023年2月17日)などによると、脱線した電車は渡り線を走行してカーブに進入。このためS字曲線を通過することになり、車体が台車を中心に左右に大きく振られたことから脱線した可能性があるという。

脱線して歩道に乗り上げたHU300形「ライトライン」の第306編成。【画像:宇都宮市】

宇都宮市は再発防止策として、カーブのカントを無くして軌道を平らにするなどして脱線の可能性を低くする工事を行う計画。脱線時と同じ進路で運行する場合の速度は5km/h以下に制限する。損傷した車両の修繕費用は概算で約1億7000万円の見通し。ほかに地上設備の修繕に合計約728万円かかる。

《関連記事》
芳賀・宇都宮LRT「試運転」11月17日から 宇都宮駅で電車の展示イベントも
芳賀・宇都宮LRTの試運転で「脱線事故」渡り線の通過時、歩道に乗り上げる