京成本線の荒川橋梁「架替」本格着手 「高い橋」で堤防かさ上げ、京成関屋駅も改良



国土交通省と京成電鉄は2月4日、京成本線の荒川橋梁(東京都足立区・葛飾区)近くの河川敷で架替事業の起工式を行った。新しい橋梁工事と前後の線路の改良工事が本格化する。

隣接する道路橋(堀切橋)より低い京成本線の荒川橋梁。【撮影:鉄道プレスネット】

工事区間は京成本線の京成関屋駅や荒川橋梁、綾瀬川橋梁を含む足立区千住関屋町~葛飾区堀切4丁目の約1.5km。工区は「足立区側アプローチ部(1工区)」「河川部(2・3工区)」「葛飾区側アプローチ部(4工区)」に分かれる。

荒川橋梁架替事業の事業区間。【画像:国土交通省・京成電鉄】

足立区側アプローチ部は別線工法で高架橋を整備して現在の築堤を撤去。河川部は現在の橋梁の上流側(北側)に新しい橋梁を建設し、現在の橋梁より約3.7m高くする。葛飾区側アプローチ部は仮線工法で高架橋を整備して築堤を撤去する。荒川右岸堤防と交差する鉄道構造物は当初は擁壁盛土構造の計画だったが、水の流れを阻害しないよう橋梁構造に変更した。

事業区間の縦断面図。荒川を渡る部分はいまより高い橋梁を新たに建設する。【画像:国土交通省・京成電鉄】

現在の京成関屋駅は上りホームが京成成田寄り、下りホームが京成上野寄りにずれて設置されているが、架替事業にあわせて位置をそろえる計画に変更された。工事中は京成上野寄りに仮ホームを設置。完成時には下りホームを現在の位置まで戻し、上りホームは下りホームと同じ位置にする。これにより移動距離を減らして工事コストの縮減を図る。駅舎の改修は行わない。

京成関屋駅の平面図。荒川橋梁架替事業に伴い上下ホームの位置をそろえる。【画像:京成電鉄/東京都】

工期は16年間の予定。本年度2022年度から各工区の工事が始まり、2028年度頃には葛飾区側アプローチ部が仮線に切り替えられる予定だ。新しい高架橋・橋梁に切り替えられるのは2034年度頃の見込み。その後は現在の橋梁の撤去や堤防のかさ上げを進め、2037年度頃までに事業を完了する。総事業費の約730億円は国と東京都、京成電鉄が分担して負担する。

京成本線の荒川橋梁は1931年に完成。周囲の堤防は高度経済成長期の地下水の過剰なくみ上げで地盤沈下したことから必要な高さまでかさ上げされた。しかし橋梁がある部分はかさ上げできず、増水時には水があふれて決壊する危険性が高まっていた。このため、桁下の高さを確保した新しい橋梁に架け替えることが計画された。

京成本線の荒川橋梁のイメージ。(左:新橋梁、中央:現橋梁、右:堀切橋)。【画像:国土交通省】

2004年度に事業が始まったが、詳細設計が遅れるなどして計画は進んでいなかった。国交省荒川下流河川事務所によると、必要な用地面積を最小限にするよう線路を何度も切り替える計画に変更したため、設計に時間がかかったという。2016年度から現地測量や用地調査が始まり、2019年度からは用地買収も始まるなど準備が進んでいた。

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