立山黒部アルペンルートの片道運賃「1万円超」に 来季から値上げ



立山黒部貫光は12月9日、立山黒部アルペンルートで同社が運行している各交通機関の運賃変更を国土交通省北陸信越運輸局に届け出た。それぞれ10~30%程度値上げされる。

立山黒部アルペンルートの黒部ケーブルカー。100円値上げされる【撮影:草町義和】

片道の現行運賃と変更後の運賃、値上げ幅は次の通り。

黒部ケーブルカー・黒部湖~黒部平:現行1050円→変更1150円(100円)
立山ロープウェイ・黒部平~大観峰:現行1320円→変更1700円(380円)
立山トンネルトロリーバス・大観峰~室堂:現行2200円→※変更なし
立山高原バス・室堂~美女平:現行2200円→変更3000円(800円)
立山ケーブルカー・美女平~立山:現行960円→1090円 (130円)

立山ロープウェイは380円の値上げ。【画像:立山黒部貫光】

交通機関ごとに異なっていた往復割引の割引率は10%に統一する。黒部ケーブルカーと立山ロープウェイ、立山トンネルトロリーバスの割引率は現在の25%から10%に引き下げられる。一方、立山高原バスと立山ケーブルカーは新たに10%の割引率を設定する。立山黒部貫光は割引率の統一で利便性を高めるとしている。

立山トンネルトロリーバスは往復割引の割引率が引き下げられる。【撮影:草町義和】

変更予定日は12月16日。ただし立山黒部アルペンルートは11月30日限りで今季2022年シーズンの営業を終了しており、実際に運賃が値上げされるのは来季2023年シーズンの営業開始日からになる。

立山黒部アルペンルートは長野県と富山県を結ぶ山岳観光ルート。長野県寄りの扇沢~黒部ダムは関西電力が電気バスを運行しており、富山県寄りの黒部湖~立山のケーブルカーやロープウェイ、バスは立山黒部貫光が運行している。

値上げ後の黒部湖~立山の運賃は合計9140円。これに関西電力電気バスの現行運賃(1570円)を加えると扇沢~立山で1万710円になり、1万円を超える。

立山ケーブルカーと立山高原バスは2021年シーズンにも値上げされている。立山黒部貫光によると、コロナ禍による旅客の減少に加え燃料費や資材費が高騰しており、企業努力だけでは経営が困難な状況になりつつあるという。

立山黒部アルペンルートの入込客数は2019年度が88万3000人。2020年度はコロナ禍の影響を受け23万人と7割以上の大幅な減少となった。2021年度は30万4000人、本年度2022年度は48万人と回復傾向にあるものの、コロナ禍前の水準には戻っていない。

《関連記事》
立山黒部アルペンルートの運賃変更が認可 今季の営業開始にあわせ値上げ
【データで見る鉄道車両】富山地鉄「20020形」もと西武特急「NRA」の3両編成