西濃鉄道が一部廃止で「日本最短」事業者に 石灰石運ぶ岐阜の貨物線を運営



岐阜県大垣市内の貨物線を経営する西濃鉄道は9月1日、市橋線・乙女坂~猿岩0.7kmの鉄道事業を廃止した。廃止の届出は2月28日付け。

西濃鉄道のディーゼル機関車。【画像:Metroplex/wikimedia.org/CC BY-SA 4.0】

西濃鉄道はおもに金生山で産出される石灰石などを運ぶ鉄道の会社として設立され、1928年に市橋線・美濃赤坂~市橋の2.6kmと昼飯線・美濃赤坂~昼飯の1.9kmを開業。1930年から1945年までは市橋線で旅客列車を運行していたこともある。

戦後は再び貨物専業になったが、2006年に市橋線・猿岩~市橋と昼飯線を廃止。今回廃止した市橋線・乙女坂~猿岩もここ10年ほど列車を運行しておらず、実質的には休止状態だった。

西濃鉄道の路線の位置。乙女坂~猿岩(赤)が今回廃止され、残るは美濃赤坂~乙女坂(青)だけになる。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

普通鉄道(2本のレール上を車両が走る標準的な鉄道)を経営する鉄道事業者で営業距離が日本一短いのは芝山鉄道(2.2km、千葉県)とされているが、これは旅客列車を運行している事業者に限ったもの。貨物列車を運行している事業者や線路のみ保有する第3種鉄道事業者を含めると、西濃鉄道(2.0km)と和歌山県(2.0km、南海電鉄の和歌山港線の一部を保有)が並んで最短だった。

西濃鉄道は今回の市橋線の一部廃止で営業距離が美濃赤坂~乙女坂の1.3kmに縮小され、普通鉄道を経営する事業者のなかで単独の最短事業者となった。

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