小田急「赤い1000形」通常は走らない小田急線で運転 箱根登山電車の全線再開アピール



小田急電鉄は7月14日、通常は箱根登山鉄道の鉄道線(箱根登山電車)で営業運転している「赤い1000形」電車を、小田急線で営業運転すると発表した。8月1日から31日の期間、小田急の全線で運用し、箱根登山電車の全線再開をアピールする。

通常は箱根登山電車の小田原~箱根湯本間だけで営業運転している「赤い1000形」。【撮影:草町義和】

車体が赤く塗られた「赤い1000形」は4両編成。この編成の小田原側に、青い帯を巻いた標準塗装の1000形6両編成を連結し、10両編成で小田急の小田原線・江ノ島線・多摩線の全線を走る。「赤い1000形」の車内には箱根の風景写真を掲出。この写真に添付されている2次元バーコードを読み取ることで、箱根の四季折々の風景を動画で楽しむことができる。

通常は小田原駅や箱根湯本駅の停車中に流している箱根ゴールデンコース60周年を記念して制作したオリジナルテーマ曲『HAKONECTION(ハコネクション)』の車内BGMを、日中の新宿駅停車中や走行中にも放送する。「赤い1000形」は小田急の車両ながら小田急線で営業運転するのは珍しく、江ノ島線と多摩線の定期列車で使われるのは、これが初めてという。

小田急1000形は1988年から1992年にかけ、196両が製造された通勤電車。編成の車両数は4両・6両・8両・10両の4種類あり、小田急線のほか箱根登山電車の小田原~箱根湯本間にも乗り入れる。

このうち4両編成4本(第1058~1061編成)の車体塗装は2009年以降、箱根登山鉄道の1000形電車や2000形電車と同じ赤(箱根登山鉄道と姉妹鉄道提携を結んでいるスイス・レーティッシュ鉄道「ベルニナ急行」で使用されている色)に変更され、おもに箱根登山電車の小田原~箱根湯本間で営業運転を行っている。

箱根登山電車は、小田原~箱根湯本~強羅間を結ぶ鉄道路線。このうち小田原~箱根湯本間の営業列車は現在、小田急電鉄の車両のみ使われている。箱根登山鉄道の車両で運転されている箱根湯本~強羅間は、2019年の台風19号で被災して運休中。復旧工事は順調に進み、今年2020年7月23日に営業運転を再開する予定だ。

赤をベースにした塗装の箱根登山鉄道2000形(右)。【撮影:草町義和】