伊豆箱根鉄道の駿豆線・大雄山線「ずらし値上げ」申請 通勤定期は24%の値上げに



伊豆箱根鉄道は9月21日、駿豆線(静岡県)と大雄山線(神奈川県)の運賃改定を国土交通省の中部運輸局に申請した。認可された場合、同社は来年2023年から2024年にかけ順次値上げする予定。消費税率の引き上げに伴う改定を除くと、運賃の値上げは1995年以来28年ぶりになる。

駿豆線の修善寺駅。【画像:キューティー吉本/写真AC】

伊豆箱根鉄道が申請したのは上限運賃の改定。現在の実施運賃(上限運賃の範囲内で実際に適用する運賃)は上限運賃と同額で、同社は改定後も上限運賃と同額の実施運賃を設定する予定だ。申請の概要によると、改定率は14.5%。このうち定期外は10.3%で、定期は通勤が24%、通学が10.1%の値上げになる。

普通旅客運賃は8kmまでの区間で一律20円を加算。8.1~20kmの区間は一律30円を加算する。初乗り(1~3km)は現在140円のところ改定後は160円に。駿豆線・三島~修善寺19.8kmは現在の520円から550円、大雄山線・小田原~大雄山9.6kmは現在の280円から310円にそれぞれ変わる。

定期旅客運賃は大人1カ月の場合、通勤定期が1390~2940円の値上げに。通学定期は「家計への負担を配慮」(伊豆箱根鉄道)するとして各区間とも一律650円の値上げになる。

伊豆箱根鉄道によると、沿線地域人口の減少による就学・就労人口の減少が慢性的に続いており、1990年代前半をピークに輸送人員が減少。これに加えてコロナ禍によるリモートワークやオンライン授業など新たな生活様式が定着しつつあり、鉄道事業はこの先も厳しい状況が見込まれる。

その一方、既存設備の償却費や維持管理費に加え、列車集中制御装置 (CTC) の更新や駅のバリアフリー化など多額の投資を行う必要があるとし、鉄道事業の健全化を図るため運賃の値上げを申請したという。

駿豆線は2023年4月に値上げされるが、大雄山線(写真)は1年ずらして2024年春に値上げされる。【画像:ジュンP/写真AC】

認可された場合、伊豆箱根鉄道は2023年4月1日に駿豆線の運賃を値上げする予定。大雄山線は2024年春に値上げする。両線の値上げ時期をずらしたことについて、伊豆箱根鉄道は「過去3年間における各線での収支実績の違い等を考慮した」としている。

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