新大村駅「最長片道切符」歓迎企画を検討 新幹線開業で終点駅に、ただし短期間?



長崎県大村市は8月29日、西九州新幹線・大村線の新大村駅が「最長片道切符」の新たな終点駅になるのに伴い、最長片道切符を使って同駅に到着した人の歓迎企画を検討していることを明らかにした。

最長片道切符の新たな終点駅になる西九州新幹線・大村線の新大村駅。【撮影:草町義和】

最長片道切符は同じ駅・区間を一度しか通らないルートで最も長い距離になる片道乗車券のこと。一度通った駅にぶつかった場合はそこで終点になる。JR旅客鉄道線のみ利用し切符の規則の解釈に異論がない最長片道ルートは現在、JR北海道の宗谷本線・稚内駅(北海道稚内市)からJR九州の長崎本線・佐世保線の肥前山口駅(佐賀県江北町)まで約1万700km(営業キロベース)となっている。

9月23日に西九州新幹線が開業して大村市内に同新幹線と大村線の新大村駅が新設されると、西九州新幹線をルートに組み込むことで最長片道切符のルートが18.5km伸び、終点駅が33年ぶりに新大村駅に変わる。大村市の園田裕史市長は8月26日の定例記者会見で「新たな終点駅は新大村駅になることが鉄道ファンの間で話題になるなど、新大村駅の開業は全国的にも注目を集めている」とアピールした。

大村市の新幹線まちづくり課によると、最長片道切符の利用者に対し歓迎の意思を示す企画を実施する方向で検討しているが、具体案についてはまだ話せる状況にないという。ただ同課は「(根室本線の)富良野~新得が廃止されて最長片道切符のルートが変わるという話を聞いている」と話しており、歓迎企画を行う場合でも短期間で終了する小規模なものになる可能性がありそうだ。

JR北海道は根室本線・富良野~新得を廃止する方針で、1月には同区間の沿線自治体が鉄道廃止・バス転換を容認する考えを示した。廃止時期は未定だが、早ければ来年2023年にも廃止されるとみられる。これにより最長片道切符のルートは南行から北行に逆転。起点駅は新大村駅と同じ大村市内でJR九州の大村線・竹松駅に変わり、終点駅は営業キロベースでJR北海道の函館本線・室蘭本線の長万部駅に変わるとみられる。

※追記(2022年8月29日19時05分):配信当初、根室本線・富良野~新得廃止後の起点駅の見込みに誤りがありました。おわびして訂正いたします。

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