東武鉄道の南栗橋駅「特急停車」来年3月から 「次世代まちづくり」に対応



東武鉄道は8月18日、東武日光線の南栗橋駅(埼玉県久喜市)に特急列車を停車させると発表した。同駅周辺のまちづくりプロジェクト「BRIDGE LIFE Platform(ブリッジライフプラットフォーム)構想」に基づく取組の一つ。

南栗橋駅に停車する特急列車の想像画。【撮影:草町義和、加工:鉄道プレスネット】

停車するのは朝方時間帯の上り(東京方面)3本と夕方時間帯の下り(栃木方面)6本。来年2023年3月から停車する。東武鉄道は運行時刻や所要時間などの詳細について、決まり次第改めて案内するとしている。また、久喜市は東武鉄道との包括連携協定(2021年10月締結)に基づき、市外からの移住者を対象とした特急券の購入補助制度の創設を検討する。

南栗橋駅は1986年に開業した郊外の駅。開業前は農地が広がっていたが、駅の新設に伴い住宅開発が進んだ。利用者数(1日平均の乗降人員)は2009年度が約7800人だったのに対し、コロナ禍前の2019年度は約8800人で1000人ほど増加している。東京都心に乗り入れる通勤列車の始発駅で、東京都心への所要時間は南栗橋~大手町で1時間10~30分程度かかる。東京と日光・鬼怒川方面を結ぶ特急列車は現在すべて通過している。

東武鉄道は東武日光線を走る特急列車について「観光輸送だけでなく、栃木・埼玉県東部からの通勤・通学輸送も担っています。近年ではその通勤・通学における着席需要に応え、便利な時間帯に列車を設定するなど、沿線価値向上を図っています」としており、南栗橋駅への特急停車も通勤時の着席需要に対応するものといえる。

ブリッジライフプラットフォーム構想は、久喜市と東武鉄道、トヨタホーム、イオンリテール、早稲田大学大学院の産官学連携による次世代まちづくりプロジェクト。南栗橋駅の南西約500mに位置するエリア(16.7ha)を開発するもので、高速通信技術や太陽光発電を活用した職住一体の省エネ住宅を整備。AIを活用した自動配送ロボットなどの実証実験も行う。今年2022年5月に街開きイベントが行われた。

ブリッジライフプラットフォーム南栗橋(上)と南栗橋駅(下)の想像画。【画像:東武鉄道】

東武鉄道はブリッジライフプラットフォーム構想で開発される南栗橋駅周辺を「『都心』と『自然』両方の魅力を楽しめる立地」と位置付けており、特急列車の停車により同駅周辺の魅力向上を図る考えだ。

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