宇都宮LRT「西側延伸」教育会館まで整備 概算400億円、2030年代前半目指す



宇都宮市は軽量軌道交通(LRT)の西側への延伸について、「JR宇都宮駅東口停留場~宝木町1丁目・駒生1丁目付近(教育会館付近)」を整備区間にすることを決めた。8月17日に開かれた同市議会議員協議会で明らかにした。2030年代前半の開業を目指す。

LRT西側延伸ルートと主要停留場の位置(赤)。検討区間のうち宇都宮駅東口~教育会館付近を整備区間とした。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

宇都宮市の東側では、宇都宮駅東口停留場から東に進んで芳賀町の芳賀・高根沢工業団地停留場まで14.6kmを結ぶ路面電車タイプのLRT「芳賀・宇都宮LRT」が建設中で、来年2023年8月に開業予定。宇都宮市と芳賀町が施設を保有して第三セクターの宇都宮ライトレールが運行する。宇都宮市はこれに続いて宇都宮駅の西側にLRTを延伸する構想だ。

宇都宮市は2018年、宇都宮駅東口~大谷観光地付近の約8kmを検討区間とし、(1)宇都宮駅~桜通り十文字(約2.9km)、(2)桜通り十文字~護国神社(約0.8km)、(3)護国神社~宇都宮環状線(約1.3km)、(4)宇都宮環状線~東北自動車道(約1.5km)、(5)東北自動車道~大谷観光地付近(約1.5km)の五つに分けて整備区間を検討していた。

宇都宮市が今回明らかにした整備区間は約5km。(1)と(2)をすべて整備し、(3)は一部を整備する形になる。同市は「駅西側エリアにおける地域特性を踏まえ、効果的な都市拠点の形成や広域的な交通ネットワークの構築、より安心して通勤・通学できる環境整備による利便性の向上等が期待でき、かつ、既存道路を活用した折り返し運行施設の確保が可能な区間」としている。

主要停留場はJR宇都宮駅西口や二荒山神社付近、東武宇都宮駅付近、桜通り十文字付近、護国神社付近に設置。これ以外の停留場は民間開発などを踏まえて引き続き検討する。宇都宮市は公共交通の結節や拠点エリア、教育施設などの集積を踏まえたとしている。

宇都宮の二荒山神社神社付近を走る路面電車の想像画。【撮影:草町義和・鉄道プレスネット、加工:鉄道プレスネット】

1日の利用者数(2018年に公表された試算)は宇都宮環状線~芳賀・高根沢工業団地で2万7000人。宇都宮市はアンケート調査を実施するなどして精度を高める考えだ。事業費は概算で約400億円程度。同市は駅東側のLRT整備の平均距離単価をもとに駅西側特有の地下埋設物の状況などを考慮して類推したとしている。

宇都宮市は今後、軌道運送高度化実施計画の策定に必要な各種調査・検討や関係機関との協議・調整を進め、2024年内に軌道事業の特許を申請して2026年内に工事着手する方針。2030年代前半の開業を目指す。

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