芳賀・宇都宮LRT「来年8月開業」正式発表 部分開業は断念、今年11月から試運転



宇都宮市は8月17日、一部で工事が遅れている「芳賀・宇都宮LRT」について来年2023年8月に全線一括で開業すると正式に発表した。工事が進んでいる区間の先行開業は断念する。

2023年8月の開業が決まった芳賀・宇都宮LRTの電車。【撮影:鉄道プレスネット】

宇都宮市によると、JR宇都宮駅東口~平石の工事は車両基地も含め今年2022年10月に完了予定。12月には平石~清原工業団地区とゆいの杜地区の工事が完了する予定だ。工事が遅れている野高谷町交差点付近は軌道工事や電車線路工事などの工程を精査した結果、2023年3月に工事完了の見通しになった。

芳賀町内は芳賀・高根沢工業団地停留場の工事完了が3月で、それ以外の区間は2月に完了の見通し。交差点部の軌道工事や停留場工事に必要なコンクリート製品などの製造に時間がかかっているという。

保安上の支障の有無を確認するための検査(電車線)は、各区間の工事完了にあわせ2022年11月から2023年3月にかけ実施。宇都宮駅東口~平石では2022年11月から試運転を始め、2023年1月から習熟運転を始める。全線では2023年4月から試運転を開始し、5月から習熟運転を始める予定。その後、軌道法に基づく運輸開始認可の手続きを6月に行う予定だ。

各区間の工事完了見通しと開業に向けた手続きなどの予定。【画像:宇都宮市】

宇都宮市は開業に先立ち、工事が先行して完了する予定の宇都宮駅東口~平石でLRTに慣れてもらうための乗車体験運行などを4月から土・日曜などに行いたい考え。今後、関係機関と協議や調整を図る方針だ。

芳賀・宇都宮LRTは宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地間の14.6kmを結ぶ路面電車タイプの軽量軌道交通(LRT)。宇都宮市と芳賀町が軌道などの施設を整備、保有し、第三セクターの宇都宮ライトレールが運行する。

芳賀・宇都宮LRTのルートの駅(緑:併用軌道、赤:専用軌道)。【画像:国土地理院地図、加工:草町義和】

2018年の着工当初は2022年3月開業の予定だった。地盤補強対策が新たに必要になったことなどから、2021年1月には開業時期を1年延期して2023年3月にすることを発表。その後も野高谷町交差点で3カ月程度の遅れが生じたことから、開業時期をさらに延期することになった。

宇都宮市は工事が先行して完了する区間の部分開業も検討したが、「一部区間の営業運転と全線開業に向けた試運転や習熟運転、各種検査等を同一路線上で並行して行う必要があり、軌道の整備及び運行に関わる限られた人員体制の中で、十分な安全管理の下、これらを行うことは、試運転や習熟運転等の期間の長期化や全線開業時期の更なる遅れ等の影響が見込まれる」として断念した。

《関連記事》
芳賀・宇都宮LRTの開業「再び延期」来年3月から数カ月程度、工事費の増額は
宇都宮LRT「西側延伸」教育会館まで整備 概算400億円、2030年代前半目指す